GS美神×ネギま!

□幸運の精霊と乙女の憂鬱!?
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「はぁ……」



眼下で繰り広げられている光景を見て、彼女はもう何度目か分からないため息をまた一つついた。





「な〜な〜、横島さん。 今度の日曜日、ウチの買い物に付き合ってくれへん?」



腰まで届く艶やかな黒髪を持つ、正に大和撫子と呼ぶにふさわしい容姿の少女が横島の左腕を両手で抱きしめながらそう訊ねている。

そうなると当然女性特有の柔らかさが腕に伝わるわけで、横島の表情が一瞬だらしなく崩れた。



「こ、こここ、木乃香ちゃん!?」


「ん〜!? 横島さん、どうかしたん?」



横島は若干顔を赤らめながら木乃香に問いかけるが、木乃香の方はというと可愛らしく小首をかしげ横島の顔を下から覗いている。

身長の差から木乃香は自然と上目使いになるわけで、それを見た横島が更に顔を赤くしていた。

彼の隣には常にルシオラやタマモ、エヴァといった美女が三人(実際には妙神山にいる竜神様も)もいるのだが、彼女達以外の女性から迫られることには未だに慣れないらしい。



「木乃香の奴、絶対わかってやってやがるな……」



二人のやり取りを見ながら彼女はそう確信していた。

そしてそんな二人の姿を物陰に隠れてじっと見つめている少女が一人。



「ところであいつはいつまでああやっているつもりなのかねぇ。 いい加減素直になればいいものを……」



本人は隠れているつもりかもしれないが、放課後の教室の窓からはそんな三人の姿がハッキリと捉えられる。

そして毎度の事ながらその覗き行為(?)はすぐに見つかることになるのだ。



「あ、せっちゃん。 せっちゃんも一緒にお買い物、行かへん?」



どうやら今回も早速見つかったようだ。

だが木乃香のその声に、『せっちゃん』と呼ばれた少女『桜咲 刹那』はクルリと後ろを向き猛ダッシュで駆け出していった。



「あ〜ん。 待ってぇな、せっちゃん」



遠ざかっていく背中に木乃香が声をかけ手を伸ばすが、その声が耳に入っていないのか彼女が立ち止まることはなかった。



「あ〜ぁ、行ってもうた……」



そう呟いた木乃香に、横島が問いかける。



「相変わらずみたいだな」


「そうなんよ〜。 ウチが声かけるといっつも今みたいに逃げてまうんよ。 ウチは前みたいにせっちゃんと仲良うしたいだけやのに……」



少し寂しそうに呟く木乃香の頭を、横島は空いているほうの手でやさしく撫でながら言葉をかける。



「そのうちまた隣で笑い合えるようになるさ」


「せやな。 うん、がんばろ。 ほなウチ、ちょっとせっちゃん追いかけてくるわ〜」



頭を撫でられ気持ち良さそうに目を閉じていた木乃香は、そう言うと刹那が走っていったほうへ向け自身も駆け出していった。

それを見届けた横島が踵を返し再び歩き出す。



そんな横島の背後から、『タタタッ』という足音が聞こえてくる。

それに気が付いた横島が振り返るよりも早く、背中に軽い衝撃を感じた。



「にゃはは〜」



横島が振り返ると背中には『六女のラッキー仮面』『桜子大明神』という渾名を持つ赤い髪の元気少女、『椎名 桜子』が張り付いている。

そして少し離れたところから、彼女が所属する『六女チアリーディング部』のメンバーであり親友でもある二人が物陰に隠れながらこっそりとポンポンを振っていた。

  
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