GS美神

□茂流田!?須狩!?いいえ上司の須木名です
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「よ、よこし……ま…………」


「わ、ワルキューレ!? どーしたその怪我っ!! なにがあった?」



ある日、横島は家の前で夥しい血を流しうずくまっているワルキューレを見つけた。

見つけたというより、転移してきた時空間の歪みに気付いたのだが。



「ワルキューレさんっ!?」


「ちょっ、ひどい怪我じゃない!!」



慌てて飛び出してきたルシオラとタマモも、ワルキューレの状態を見て驚いている。

ワルキューレは魔界正規軍の中でも上位の実力を持つ大尉なのだ。

その彼女がこれ程の大怪我を負うなど、よほどの事が無いかぎり考えにくい。

彼女の実力を知っているからこそ、横島たちの驚きは大きかった。

すぐさま横島が『治』『療』『癒』の文珠でワルキューレの怪我を治す。

その結果、ワルキューレの口から今回の出来事の全容を聞くことが出来るようになった。



「すまない、横島。 迷惑をかけたな」


「何言ってんだ。 これくらいどーってことねーよ。 それよりワルキューレ、なにがあった?」


「ホントよ。 ワルキューレさん程の人がそんな怪我をするなんて」


「一体誰にやられたの?」



見た目怪我の癒えたワルキューレに、横島たち三人から矢継ぎ早に質問が飛ぶ。



「本来なら作戦内容を漏らすわけにはいかないがどうやら作戦は失敗のようだし実力のある者たちの協力が必要だ。 こいつらなら実力に申し分はないな……」



何やらワルキューレは一人でブツブツと呟いているが、その間横島は霊能者としての勘が囁いたのか面倒事の予感しかしない。

そしてワルキューレから告げられた内容は、横島の予感通り穏やかな内容ではなかった。



「今回我々はある情報を元に極秘捜査のためとある研究施設へと潜入した。  調査の目的はその研究施設で行われていることの確認だ。

我々の掴んだ情報によれば、ここでは神、魔、人間、妖怪など種族に関係なく稀少な能力を持つ者を集め薬物投与や解剖など、非人道的な行為を行っているとのことだった。

だがどこからか任務のことが漏れたらしく完全に不意をつかれた我々は罠にはまり、部下を撤退させるために私が殿を務め最後の力を振り絞ってここへ転移したというわけだ。

実際にそのような行為が行われているとしたら、貴様とて無関係とはいくまい!?  貴様の力ほど連中にとって喉から手が出るほど欲しいものはないはずだからな」



「「「…………」」」



横島たち三人は思わず息を呑む。

するとそこへ更に転移の反応が現れた。



「大丈夫ですか、姉上っ!!」


「ワルキューレっ!!」



やって来たのはジークフリートと小竜姫であった。

ジークは共に作戦行動に出ていたこともあり、かなり取り乱しているようだ。



「ジークフリート少尉!! 魔界正規軍の軍人たる者、如何なる状況においても決して取り乱すなとあれ程教えたのを忘れたのか!?」


「はっ! いいえ、忘れた訳ではありませんっ!!」


「まあいだろう。 くれぐれも忘れるなよ!? だがまぁ、一人の肉親として心配してくれたことは嬉しく思うぞ」


「姉上っ!!」



いきなり始まった姉弟のやり取りだが、そこへ寝坊助吸血姫が眠そうに目を擦りながらやってきた。



「朝っぱらからなんの騒ぎだ!?  煩くて目が覚めてしまったではないか。 うん? なんだワルキューレ、そんな噎せるような血の匂いを漂わせて」



エヴァはワルキューレに対しそう尋ねる。

その問いに対して、先ほど話を聞いていたルシオラが説明を引き受けてくれた。



「そのことについてですがワルキューレ、次の作戦には我々神族からも人員を出すことになりました」


「なに!? どういうことだ小竜姫?」



ルシオラがエヴァに説明をしている間、こちらでは新たな展開が待っていた。



「実は魔族側とは別にヒャクメが調べていて分かったことなのですが、今回攫われた人物の中に『天照大神』と深くかかわりのある一族の者が含まれていることが分かりました。

その者の救出をするため親族側から私が派遣されることが決まりましたので今後はワルキューレとともに行動します。 またサポート役にヒャクメも同行しますので」


「なるほど。 小竜姫やヒャクメが一緒なら心強い」


「ですが今回の敵はいくら不意打ちをされたからと言ってもワルキューレがあれほどの傷を負った相手、油断はできません。

しっかりとした作戦が必要でしょう」


「そうだな、では早速作戦会議と行こうか。 ジークッ!!」


「はっ、ここに」


「今から作戦会議を行う。 貴官の持つ情報とヒャクメが調べた情報を摺り合わせ新たな作戦を立案せよ」


「はっ、了解であります!!」



こうしてなぜか横島邸で神魔合同の作戦会議が始まった。

始めはいきなりの事ですっかり固まってしまっていた横島であったが、自分の愛する女性が危険な任務に着こうとしているのを黙ってみていることはできなかった。



「ワルキューレにシャオ、俺も行くよ」


「えっ!?」


「なに!?」


「いや、だって二人にまたさっきみたいなことがあったら心配だし。 それに少しでも戦力は多いほうがいいだろう?」



こうしていともあっさりと横島はワルキューレたちの同行することを決めた。

それについてその日の夜にタマモとルシオラから詰め寄られ、今度は横島のことが心配だとこの二人も参加することが決まった。

そうなるともう一人も必然的に参加となる。



こうして極秘のうちに一時的とはいえ横島が前線に復帰する事となった。


  
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