GS美神

□ちうちゃんの秘密!?
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「どうした!? いきなり呼び出したりして」


「ああ、兄さん。 実は私一人じゃ荷物が持てそうになかったから呼んだんだけど、ゴメン、その、やっぱ迷惑、だったよな!?」



ある日の休日、横島は先日十年ぶりに再会した少女にある喫茶店に呼び出された。



「いや、別に今日は特に予定入ってなかったから別にかまわんぞ!? 俺も久しぶりにちーちゃんとゆっくり話がしたかったしな」


「ちょっ、その呼び方は恥ずかしいからやめてくれって!! 頼むよ兄さん……」


「そうか!? まあちーちゃんがそういうなら仕方ないな。 分かったよ千雨ちゃん、これでいいか!?」


「ああ、それで頼むよ」



やはり当時の呼び方は恥ずかしいらしく、横島は真っ赤な顔をした千雨に呼び方の訂正をさせられた。

だがこの男はニヤリと笑い反撃に出た。



「なら千雨ちゃんも俺のこと、兄さんとかじゃなくて名前で呼んでいいぞ!?」


「は、な、なに!?」


「ほれ、試しに『忠夫さん』とか」


「た、た、ただ……」


「ほれほれ」


「い、言えるかーーーーーーっ!! 兄さんは兄さんでいいんだよ!!(ったく、恥ずかしいじゃねえか。 こんなとこクラスの連中に見られたら洒落になんねぇぞ……)」


「ははは、ゴメンゴメン。 千雨ちゃんの言いやすい呼び方でいいからな」



耳どころか首まで真っ赤になっている千雨をみてさすがにやりすぎたかと、横島が笑いながら謝る。

確かに恥ずかしくて真っ赤にはなっているが、よく見るとかすかに口元に笑みが見られるあたりどうやら怒っているわけではないようだ。

それは普段学校では見せないような表情や仕草なのだが、久しぶりに会った横島には当然分かるはずもなかった。



だが千雨が心の中で呟いた言葉、それをフラグと言う。



「(あ、あれはうちのクラスの長谷川!? あれ、男の人と一緒だ、って、ええ!? 長谷川ってあんなに表情豊かだったの!? こ、これはスクープよっ!!)」



とある『六女のパパラッチ』にしっかり見られていた。



「そんなことより、今日はどこへ行くんだ?」


「ん!? ああ、タブレット端末と新しいPCが欲しくてさ、出来たら秋○原まで行きたいんだけどいいかな!?」


「ああ、かまわんぞ。 よし、それなら早速行くか」



そうとは知らず、二人は店を出て駅へと歩いていった。

当然そのあとを追うパパラッチ。

彼女のパイナップルのような髪型が揺れていた。



「なあ、タブレット端末買うのはいいが機種とかは決めてあるのか?」



秋○原へ向かう電車の中で、横島が千雨に尋ねる。



「ああ、候補は二つあるんだ。 iP○d miniとNex○s 7、兄さんはどっちが良いと思う?」



千雨が横島に尋ねる。

この質問も、あまり期待せずに会話の一部として言ってみただけであった。



「そうだなぁ、俺は今使ってる携帯がiPh○neだからタブレット持つならiP○d miniかな。 iTu○esもそのまま使えるし。

でも確かにNex○s 7のあの値段は魅力的だな」



たしかにGSだった頃であればあまりにも薄給だったためPCなど買う余裕などなかったが、いまでは横島も一応店の経営者ということもありそういった機械関係にも実は意外と詳しくなっていた。

携帯もなんとiPh○ne 5だったりするのだ。

それを聞いたときは密かにお揃いだと千雨は心の中でガッツポーズをしていた。

ちなみに元々手先が器用なこの男、店のPCは自作してしまったくらいだ。



話しているうちに、千雨は横島が意外と話しに着いてきていることに気が付いた。

どうやら店のHPも存在するらしい。

この十年、人探しの為の情報収集をしているうちにPC関係にかなり詳しくなってしまった彼女、当然あのHPもあるのだがさすがに恥ずかしくてそんなこと言えはしなかったが。



「でもなぁ、あんまり今より通信費ふやしたくないんだよなあ……」



ポツリと千雨が切実な思いを呟く。

親元を離れ、六女の寮で生活をしている身としては今現在でも何とかやりくりしている状態なのだ。

そんな彼女の呟きを聞き、横島がアドバイスを口にする。



「千雨ちゃん、携帯はパケット定額制か?」


「ん!? ああ、もちろん」


「だったらあれだ、パケット代のプラン変更とiPh○ne本体の設定変更を組み合わせれば新しくポケ○トWiFiとか契約しても今と変わらないくらいの通信費で済むぞ?」


「テザリングじゃダメなのか?」


「テザリングでもかまわんが、通信量が多いと速度制限かかるんだよなー」


「げ、マジか……」



HPをほぼ毎日更新している千雨にとって、時間帯によって重くなったりするのは今でもストレスを感じる状態であった。

それに輪をかけて速度制限がかかるなんて耐えられない。



そんな感じで話をしているうちにどうやら秋○原に着いたようだ。

さすがに休日という事もあり人が多い。



「さ、まずはあの店からだ」



千雨は横島がPC関係について意外と詳しいことに気を良くしたのか、かなり上機嫌である。

その証拠に今現在彼女は自分から横島の手を取って引っ張っていることに気が付いていない。



『カシャッ、カシャッ』



当然そんなシャッターチャンスをパパラッチが逃すはずもなく。



「(ふふふっ、明日の六女スポーツの一面は決まりね!!)」




  
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