GS美神

□横島くんの『光源氏計画』!?
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エヴァが横島家へとやって来て数ヶ月が経った。

彼女もすっかりこの家での生活にも慣れたようだ。

その証拠に、昨夜はローテーションによりエヴァの番となっていたのだ。

何の順番かはご想像にお任せするが……



エヴァはベッドの上に寝そべりながら、写真立てに収められた一枚の写真を見ていた。



「なに見てんだ、エヴァ?」



隣から横島の声がかかる。



「ん? ああ、この写真をちょっとな。 これはここに来る前の土地で取ったものか?」


「ああ、もう十年くらい前になるかな。 ほれ、俺たちはこんな存在だからどうしても一つの土地にずっとは留まれないだろ?」



何でもないことのようにエヴァに答える横島だが、その目はどこか遠くを見つめているようだった……





……………………

……………

……






「お家のお手伝いかい?」



お店の外から横島の声が聞こえる。



何かあったのかと思いルシオラが顔を出してみると、横島がしゃがみ込んで小学生位の女の子と何やら話しをしている。



女の子は真っ赤になり俯きながら、横島に何かを手渡した。

それを受け取った横島は、少女の頭を撫でながら優しく微笑んでいる。



(ま、まさかラブレター?  ロ、ロリに走ったのヨコシマ!?)



混乱のあまりルシオラの思考が明後日の方を向いている。

思考がフリーズしかけていたルシオラに向かって横島が告げた。



「可愛らしいお客さんだ。 サービスしてやってくれよルシオラ」



(そ、そうよね。 いくらなんでもロリは無いわよね……)



内心ちょっぴり焦っていたルシオラさん。

もうちょっと自分の男を信じようよ……







「いらっしゃい」



ルシオラが少女に微笑みながら挨拶をすると、まだ少し恥ずかしいのか少女は赤い顔で俯いてチラチラと彼女を見ていた。

そんなやり取りを見ていた横島がルシオラに先程少女から渡されたメモを見せる。



・お豆腐1丁

・油揚げ2袋



そのメモにはそう書いてあった。



「あら、お使い? 偉いわね〜」



それを見たルシオラも微笑みながら少女の頭を優しく撫で、お釣りといっしょに品物を渡す。

始めは少しオドオドしていた様子の少女も、ようやく緊張が解れてきたのか可愛らしい笑顔を見せた。

どうやら少女のはにかみながらの笑顔がルシオラにクリティカルヒットしたようだ。



「きゃ〜、カワイイっ!!  一人でお使いなんてホントに偉いわね、お嬢ちゃんお名前は? お年はいくつ??」

「……ちさめ、ごさい、です」



いきなり自己紹介を始めたルシオラに小さな手を広げて、この小さなお客さんは年と名前を教える。



「お家はご近所なの? ちょっとまっててね」



ルシオラはそう言うと、店の奥に向かって声をかけた。



「タマモちゃーん! こないだタマモちゃんが作った新作、ちょっと持ってきてー」


「なーにルシオラ、随分騒がしいわね?」



ルシオラに呼ばれたタマモが面倒臭そうにしながらも、渾身の逸品『お揚げチップ』を持って店に顔を出した。



「あら、お隣りの家の子よね? こんにちは」



どうやらタマモはこの子の顔を知っているようだ。

少女も顔を覚えていてくれたのが嬉しかったのだろう、満面の笑顔で挨拶を返した。



「ぐはぁっ!!」という奇声を上げ、胸を押さえて踞るタマモ。



「や、やるわね。 仮にも傾国の美女と呼ばれる私にこれほどのダメージをあたえるとは。  これは将来強敵に………」



などブツブツ呟いている。

どうやら少女の笑顔にやられたらしい。



「「ど、どーした(の)、タマモ(ちゃん)?」」



恐る恐る横島とルシオラが問いかける。

目の前で急に崩れ落ちたタマモを見てしまった千雨はどうして良いかわからず、ただオロオロするしかなかった。

暫くして立ち直ったタマモは改めて自己紹介をする。



「私はタマモ。 よろしくね」



素っ気ないようで、それでいて親しみを込めたタマモの挨拶。

その横から横島が口を挟む。



「なあタマモ、この子知ってるのか?」



ルシオラも横島の隣でウンウンと頷いている。



「あんたたち、商売してるならお得意さんの顔くらい覚えてなさいよね。 お母さんと一緒によく来てくれてるじゃない……」



タマモが呆れたように呟く。



「「………あ、あはははっ」」



横ルシは笑ってごまかすしかなかった。

が、横島限定悪戯大好き娘は更に攻勢に出る。



「それにしても珍しいじゃない、忠夫が可愛い子の顔を覚えてないなんて?」


「アホかっ、こんな小さな子どないせぇっちゅうんじゃっ! ワイはロリちゃうわーっ!!」



ニヤニヤ笑っているタマモに猛抗議をする横島。

そんな二人を横目に、ルシオラは少女にタマモの自信作『お揚げチップ』を差し出す。



「どうぞ、食べてみて」



そう言われて少女は戸惑いながらも一つかじってみる。



「っ! おいしい……」



どうやら好評だったようだ。

それを聞いたタマモはさっきまでの喧騒はどこへやら、少女の両手を握りしめながらこんなことを言った。



「気に入ったわ、お揚げ好きに悪い人はいないのよ。 これからは毎日いらっしゃい、いろいろサービスしてあげる」



商売人としてそれは良いのか、タマモさん?






初めての一人でのお使いを無事に終え、最初の緊張感もすっかり消えた少女は三人に手を振りながら帰って行った。

少女が隣家の玄関に消えるまでルシ横タマは笑顔で見送っている。

ずいぶん仲良くなったようだ。

    
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