GS美神

□吸血姫が望む永遠!?
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『プロローグ』



「どーじゃ蛍の嬢ちゃん、そろそろ完成しそうか?」


「もう少しよ。ここをこうして、こっちを繋げてっと。

あとはこれを締めて…… 出来たぁー♪」


「ほぅ、もう出来たのか。さすがは魔王の娘ということかの……」


「あら、褒めたって何にも出ないわよ? 

それより、急いでヨコシマを呼んで来てさっそく試してみましょ♪ 

あ、その間にカオスさんはマリアさんのバッテリーを充電しておいてね?」




『蛍の嬢ちゃん』と呼ばれたのはご存知ルシオラさん。

そして彼女に話しかけていたのは、1000年以上生きているといわれる『ヨーロッパの魔王』ことドクター・カオス。

何かを作ること(主に兵鬼)においてはマッドな素質を十分お持ちの彼女は意外にも稀代の錬金術師ドクター・カオスと気が合うようで、
横島がGSを辞めた今でもカオスと共同で色んなものを作っているらしい。

ところてん式に古い記憶が抜け落ちていくカオスの脳のおかげでほとんどが失敗作であったが、『物を作る』という行為そのものをルシオラは楽しんでいた。




そして今回ルシオラが手がけたのはカオスの娘的な存在のアンドロイド、「人造人間 試作M−666」ことマリアの改造(!?)だった。

改造とはいっても今までは家庭用コンセントからの充電により動いていたマリアを、内蔵バッテリーの電力が切れても予備電力で動けるように外付けのバッテリーパックのような物を付けようというものであった。

そして今やっと完成したのが、ベルトに着ける携帯ケースくらいのサイズの小型兵鬼『へんかん君ver,1.06』である。

早い話、横島の文珠をマリアの動力源に変換する兵鬼だ。




いくら横島がGSを辞めたからといって、今までの交友関係すべてを断ち切ったわけではない。

現に雪乃丞などは相変わらずバトルを申し込みに来ては毎回断られ、肩を落として帰っていく。

最近は彼の奥さんまで手合わせを挑んでくるくらいだ。

カオスはというと、あまりにも貧窮にあえぎ困り果てた末に横島の店に「おから」を求めてやってきたという情けない話なのだが……




ちなみに横島たちは魔鈴めぐみの魔法料理店には豆腐や油揚げを卸していたりもする。

もちろん店頭でも販売している上に、通販も可能なため店の経営は順調だ。

「緊急の注文にも即日配達してもらえる」と口コミで広がり、京都の老舗料亭なども大口の取引先だったりする。

実は緊急の注文の際は横島が「転」「移」で届けるという、なんとも文珠の無駄使いのような気もするが……




「ちょっと来て、ヨコシマーっ」


「あいよ〜っ」



地下室からのルシオラの呼び声に答え、横島が階段を下りていく。



「あ、まって忠夫」



どうやらタマモさんも興味があるようだ。一緒に地下室まで付いて行った。



「出来たんか、ルシオラ?」



この『へんかん君』が完成すれば定期的にマリアに文珠を渡すことになるのだが、緊急時に電力不足で機能停止してしまいマリアが危険な目にあうのは見ていられないということで、横島もすすんで協力していたりする。

相変わらず女・子供には甘いようだ。



「えぇ、出来たわ。今はまだマリアさんを充電中だけど、起動させるくらいの電力は貯まったはずだからテストするにはちょうど良いわね。じゃ、早速テストしてみましょ♪」



 自分が作ったものの成果を確かめるのが楽しみでしょうがないのか、ルシオラの声は弾んでいる。

タマモはというと、あたり一面に散乱しているルシオラ&カオスの作り上げた失敗作なのか完成品なのか素人にはどうにもよく分からない物を手に取り、興味深そうに眺めている。



 そしていよいよ起動させようとルシオラがマリアに触れたその瞬間、



『バシィッ!!!』という音とともに眩い閃光が地下室一面に広がる。



「「ルシオラ(嬢ちゃん)っ!!」」「忠夫っ!!」



 異変に気づいた横島とカオスがルシオラに向かって手を伸ばし、慌てたタマモが横島のシャツの裾を掴む。

そして横島がルシオラの体を抱きとめた瞬間横島たちの姿がわずかにブれ、一瞬のうちにその姿が掻き消えてしまった。

横島たちの姿が消えた地下室には、ドクター・カオスが手を伸ばしたままの姿勢で呆然と固まっているのであった……


 
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