Creating the World

□12話
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「ここの川はいつも綺麗ね」

真姫は超越者の中で最低ランクのエスパーに分類される。

そもそも超越者には例外、『十の冥王』を除けば三つに分類される。

先にも述べた最も底辺にあるのが『エスパー』。

後天的に人外の能力を得たタイプ人間、超能力者と呼ばれる者達などである。もちろん普通の人と比べると抜きん出ていることは間違えないが、大半が霊能力者やスプーン曲げができる程度の能力しか持っていなかったりする。

また力が大きい程払う対価もぼったくりと思われるほどに高くなる。いいとこなしだが、超越者の実に七割はこのエスパーのランクに当たる。

その次が『レア』。

剛のように生まれた時からある特性を持っているもの、死してなおこの世に残っているものはこちらに属すことになる。リスクが小さい、もしくはノーリスクで巨大な力を行使できる。

しかもエスパーとは違い、例外なく全員が強力な力を持ち合わせている。もちろんこの中でも強さの上下がある。香と剛を例に挙げると分かりやすい。幽霊と九尾、二つの属性を持っているのでレアのランクの中でもトップクラスの性能だといえる。だから鬼の属性しか持ち合わせていない剛はどうしても香に劣ってしまうのだ。

そして最強のクラスが『マジック』

レアランクの能力を持ってしてでも殺すのは不可能とまで言われている。ただし、世界に現在二人しかいない。いや、二人も言うべきだ。世界制服を企めばあっという間にその二人でなしてしまうのだから。

そうならないのはマジックランクに所属する者が基本的に世捨て人だからだ。

「元気にセミでも捕っているかしら、二人とも」

真姫は川の近くに腰掛けた。木の陰の下は心地よい風が流れる。

「あんたは……いい声で鳴きそうだな」

風に乗ってその声が届いた。

「予想してたよりも早く接触してくるなんてね」

だが真姫に驚いた様子もない。

「いやいや、じっと待ってんだけどね。俺は我慢が出来ないほうなんだ」

姿を現した。ガタイはあまり良いほうではない。黒髪、黒目。日本人だろう。

「さっさと殺させてくれや」

ナンパにでも誘う軽さで男は言った。

「躾がなってないみたいね」

真姫は下ろしたばかりの腰を持ち上げた。

「いいわ、おねえさんが調教してあげる」

「はっ、期待してるぜ!」

突然、男の姿が消えた。

「どこを見てんだ?」

右後方から声。とっさに前転をする。

「いい反応だ。少しは楽しめそうじゃないか!」

空を切る斬撃、高笑いが鼻につく。同時に真姫は敵が超越者、エスパーであることを知った。

分かりやすいことだ。

希少種なら高速移動の途中にでも自分を切れた。できなかったのは制限を受けた超能力者であるからだ。

「厄介ね」

手を素早く伸ばす。

掴んで潰す。

シンプルで強力な能力の典型である。だがシンプルであるが故に相性が重要になってくる。

「よっと」

バキリ、と音がなったのはそばにあった木を巻き込んだからだ。敵は後ろに立っていた。

「名乗り合いって大切だと思うんだよね」

クルクルとナイフを器用に回して男は言う。

「本名じゃないけども本郷 空也って言うんだ。……防衛戦はお得意かな?」

「北条 真姫。……守る分野は未履修よ」



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