Creating the World
□17話
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剛は今、隣にいる。
「………」
声が出ない。ヒューヒューと息をしている。剛は生きている、だけどこのままじゃ死ぬだろう。
服が破けて腹は血を少し出して焦げている。それよりも重大なのは敵が迫っているという状況だった。
「少女よ」
低い声が轟いた。ビクリと身体が震えた。
「貴様の命は助けてやる。その男が命を張ってお前をかばいながら戦ったのだから」
剛は確かに私を常に背を置いて、そして戦いの舞台を私から遠ざけながら戦っていた。それを思うだけでも私は悔しくなる。
傷ついた剛を治療することもできないのだ。それどころか腰さえ抜かしてしまう始末。
「や、やめ…」
もう弱弱しい声しか出せない。雲頸が剛に近づくのを見ることしかできない。
自分はこんな戦いがあることなんて知らなかったし、超越者なんて信じていなかった、だけど剛が死ぬというのは分かってしまう。
「お前はここで終わりだ」
雲頸が拳を持ち上げる。止めを刺す気だ。止めないと、止めないと。
「やめて……」
何が私にできる?
「お願いだから……」
何もできないじゃないか。
拳は剛の頭を狙って振り下ろされた。
「やめてぇぇぇえ!」
願うように叫ぶことが私の抵抗だった。
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