Creating the World

□17話
1ページ/2ページ


剛は今、隣にいる。

「………」

声が出ない。ヒューヒューと息をしている。剛は生きている、だけどこのままじゃ死ぬだろう。

服が破けて腹は血を少し出して焦げている。それよりも重大なのは敵が迫っているという状況だった。

「少女よ」

低い声が轟いた。ビクリと身体が震えた。

「貴様の命は助けてやる。その男が命を張ってお前をかばいながら戦ったのだから」

剛は確かに私を常に背を置いて、そして戦いの舞台を私から遠ざけながら戦っていた。それを思うだけでも私は悔しくなる。

傷ついた剛を治療することもできないのだ。それどころか腰さえ抜かしてしまう始末。

「や、やめ…」

もう弱弱しい声しか出せない。雲頸が剛に近づくのを見ることしかできない。

自分はこんな戦いがあることなんて知らなかったし、超越者なんて信じていなかった、だけど剛が死ぬというのは分かってしまう。

「お前はここで終わりだ」

雲頸が拳を持ち上げる。止めを刺す気だ。止めないと、止めないと。

「やめて……」

何が私にできる?

「お願いだから……」

何もできないじゃないか。

拳は剛の頭を狙って振り下ろされた。

「やめてぇぇぇえ!」

願うように叫ぶことが私の抵抗だった。



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ