Creating the World
□15話
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空也は危険を感じた。
自分の経験が告げいる、間違えはない。何かやられる前にとっとと止めを刺せと。そこにためらいはなかった。
たとえ先ほどまで自分に手も足もでなかった者であっても予想外の事態はいくらでも起こりうる、それも経験が教えてくれた。
だから次の瞬間には真姫の後ろに回り込んでナイフをつきたてようと構えていた。人間は死角から攻撃をするのが基本だ。
何せ見えてないから攻撃できないし、気付かれたところでこちらが先に行動を起こしているのだ。遅れを取る道理がない。
間違えはなかった。
空也が後ろに回るのは確かに理に適っていた。ただその刃が真姫の身に届かなかったのは不運としかいいようがない。
「あんたは分かりやすいのよ」
淡々と語る。
「さっきの右腕を切ろうとしたときもそうだった。本気の一撃は必ず後ろから決めてくる。何度も避けたから分かったけどあんたは死角からの攻撃で後ろを好む傾向がある。多分、それはとっさに行動を起こすとき顕著に現れる。
少なくとも私はそう踏んだ」
そして当たった。
手鏡の中に映っている空也は身動き一つできずにいた。
真姫の能力は自分の視界の中だけ。普通に考えれば広い範囲であるがどうしても死角からの攻撃には弱い。だから弱点を完全にとはいかないが少しでも防ぐために常に手鏡を持っている。今回は使いどころが難しかっただけのこと。
「あんたは強かった。ただ多少焦ったのがあだになったわね」
反射的に行ってしまった動作が悲劇を生んだのだ。
「くそ……!」
掴まれて、動けるのは口ぐらいだ。
「とんだ失態だ、こんなところで死ぬなんてな。……早く殺せ」
潔い。諦めるのが早い。
「そうねぇ」
明らかに考えてるふりだ。
「私のペットになってみない?」
「お断りだ」
グシャリとえげつない音がした。
「歌恋を殺すと抜かした時点であんたを殺すのは決定事項だったんだから」
もう意識などない死体に淡々と話す。
「歌恋、剛、礼治、香。みんなは私の居場所なんだから」
風が真姫の髪をなでた。
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