Creating the World

□14話
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「よく避けた」

地面にめり込んでいたボーリングの玉みたい
に大きな拳を持ち上げた。

「そしてそこの少女も助けるという勇敢な行動、賞賛に値する」

デカブツはそう言った。

「へっ、そりゃどう…も!」

剛が右手を振り下ろす。

「!」

デカブツとは思えないほど警戒に後ろに飛び退いた。それが正しい判断だと私でも分かった。

腕を下ろした軌道から十センチ先の地面までえぐれていた。

「衝撃波……かまいたちの類か?」

デカブツが好奇心を抱いているのはその目から伺える。戦い自体を楽しいと感じている目。

「知らねぇな!」

剛は躊躇なくまた手を振りかざした。

一振り、二振り…切り裂かれて歪んだ風が五メートルは離れている私にも届いていた。近距離でうけたならどうなるだろう。ふと頭の中にその思考がよぎったが、あのデカブツは寸でのところで避けているようでケガ一つ負っていない。

「おらぁぁぁ!」

続く怒涛の攻め。

普段の剛とは違う凶暴さが現れている。だんだんと攻撃のスピードも速くなっていっているのもわかる。

これなら当たる。すぐに私の確信は現実のものとなった。

「殺った!」

着地の瞬間に剛の左腕が振り上げられる。攻撃は傍から見れば敵の右腕を切断にするには十分な威力を持っているように見えた。証拠に衝撃で近くの木が大きく揺れていた。

その瞬間にいつの間にか変わっていた剛の金色の瞳がかっと見開かれて、地面を蹴り飛ばしていた。

「中々強力。だが我が鱗の下には届かなかったな」

剛の攻撃は突如としてデカブツの皮膚に現れた鱗によって完全に防がれていた。

「我は雲頸。龍の血を引くものだ」

「知るか!」

さっきの攻撃はあくまで衝撃波によるもの。剛は飛び掛り、鱗にフォークのように尖らせた手を突きたてた。

「ぐぁぁぁぁ!」

悲鳴をあげたのは剛の方だった。

左手からは血が溢れ出している。私は駆けつけたかったがこのときには情けないことにすでに腰が抜けていた。
ただ変わっていないのは雲頸が同じ場所に整然と立っていることだった。


「龍の鱗を舐めているのか。いや、貴様のそれはたいしたものだ。俺の力を過信しただけか」



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