すいーと(仮)
□クーラー
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夏真っ盛り。
わしの家のクーラーは先日
奇声を発し故障した。
暑いんじゃけど。
何もしとらんのに汗が輪郭をつたう。
「あつー。夏をなめとったわ…」
ついこの前までクーラーがあった場所を仰ぎ見て言った。
「そーだねー。クーラー目当てに昭仁ん家に逃げ込んだのに」
扇風機もない、と付け加えた。
「クーラー目当てなん?わし目当てちゃうん?」
むーっとした顔で内輪をひたすら仰ぐごんべさんを見た。
「そんなわけないじゃん。1人でも十分暑いのに2人だともっと暑いじゃん。愛しのクーラー、どうしてあなたはここにいないの?」
ねえ、ロミオ。どうしてあなたはロミオなの?
のノリで言った。
なんね、それ。
わし<クーラーって
笑い話にもならんわ!
「…暑いんなら…ホラーでも見ん?」
ホラーDVDならごんべさんも可愛いとこ見せるじゃろ。
きゃーっ言うてわしに抱き着くとか。
考えただけで
顔の筋肉緩むわ…
「いいよ。昭仁ん家あるん?」
内輪で扇ぐ手を止めきいた。
「あるよ。お茶でも入れてくらあ」
ひっそり笑ったのをごんべさんは気づいていない。