すいーと(仮)

□同窓会
1ページ/1ページ


結婚てええもんね
付き合っとるんとかわらんじゃろとか…
見くびっとった。

奥さんって響きがええね
人妻になったねって言うたら
「やめてよ、その呼び方」
って怒るんも付き合っとる時よりかわいいし
そこがすっごく愛くるしいの
今、自分、気持ち悪かったんじゃけど…


「何でニヤニヤしてるの?」
「何もー。今日、どこ行くん?」
今つけ中の鏡中に写るイヤリングを見つめるごんべさんにきいた。
「さっきもいったじゃない。同窓会だよ」
言い終わると口紅をうっすらつけた。
口に何かを付けるのが苦手といっていたけれど
せっかくだから、ということなんだろう。
「昔の男に逢うん?」
ごんべさんを後ろから抱きしめた。
「昔の男って 大丈夫。私モテないから」
笑いながら昭仁の手を握った。

「モテるやつはモテん言うもをなんよ?それに晴一じゃってかわいいっ言うとったもん」

「でも、大丈夫よ。だって私、昭仁のことがすきだもん」

「…わしも同窓会行きたい」
寂しそうな声を出した。
「それはダーメ。中学校のときのだし…」
時計を見ると昭仁をよけてソファーにかけてあるかばんを手にとった。
「じゃ、行ってきます」

「待って」
昭仁は玄関をでようとしたごんべさんを呼び止めた。
「連れてかないよ」

ぎゅうっ

「…ごんべさんはわしのなんじゃけえね。他ん奴に色目使ったらただじゃおかんけえね」
耳元で囁いた。

それは、反則だよ。
「帰ったら相手したげる」
にこっとわらった

昭仁は物言いたげな顔をしつつ
「いってらっしゃいのちゅー」
口紅つくよ、と今日は言わない。
ちょっと長めのちゅーをし玄関をでる。


ごんべさんのことを考えつつ
テレビでも見ながら帰りを待とう。
きっと、すぐ帰ってくるよ。
だってわしが待っとるんじゃから
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ