Dream zzz

□Call me maybe
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それは突然だった。


それは突然、私の世界に音も無く入り込んできた。


突然、目の前にでっかい宝石が落ちてきて

道をふさがれてしまったような

突然、足元の床が抜けて真っ逆さまに落ちた先が

一面の花畑で立ち上る花の香りに酔いしれるような

突然、目玉がガラス玉になって

キラキラとした世界しか見えなくなるような


そんな、突然の出会いだった。


なんてことはない平凡なモノクロの日々に

突然キラキラと色がついた。



人生で初めて一目惚れというものを体験したのだ。



出会いは新緑鮮やかな初夏のあの日。

毎朝のランニングコースを走っていると

いつもは誰もいないバスケコートに彼がいたのだ。


真っ赤な坊主頭のデカイ男。


彼の姿が目に入った途端、

ランニングでトクトクと弾んだ心臓が、一層高く大きな音を立てた。


思わず足を止めて彼を見る。

何かブツブツと呟きながら、リングに向けてボールを投げる。

その姿から、目が離せなくなった。


全身は電流が走ったように震え、高鳴る鼓動を抑えられなくなる。



どの位見つめていただろうか。

彼が荷物をまとめ、帰る準備をしだした。


(・・・どうしよう!!)

今日を逃したら、二度と会えないかもしれない。

焦った私は、腰につけた小さなポーチを漁る。


(何か、何か書くものを・・・。)


ガサガサと探ると、ペンとレシートが見つかる。

(この際、レシートの裏でも構わないや!)




今にも帰りそうな彼に思い切って声をかける。


「・・・あのっ!」


「む?」


振り返った彼と目が合う。

強い瞳に思わずくらっとする。


「あの!これ、突然すみません!変な者じゃないです!電話、ください!」

声が上ずる。

震える両手で、電話番号を書いたレシートを手渡す。


「あ、」

「あの、電話、待ってます!」

そう言うと、返事も待たずに走り出す。




ドキドキが止まらない。
息が苦しい。

会ったばっかりなのに、
こんなのっておかしいよね?
でも、ガマンできなかったの。

電話、ください。




Call me maybe



あとがき的な
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