海賊メニュー

□独白
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なんであいつのことを好きなったのかなんて、考えてみたって解らない。

オレは男だし、女のことがなにより好きだし。
それ以外の男どもなんてクソくらえだ。例え顔がいくら綺麗で女の子みたいな美少年であっても、チ○コがついている時点でもう完全にアウトだ。むしろそんな容姿で女じゃないなんていっそ罪深い。

そんな完全に女尊男卑なこのオレが、なんでよりにもよって男の中の男みたいなむさくてごつくてぶっきらぼうなあの男を好きになってしまったのか。

グランドラインの不思議以上に、オレにとっては今世紀最大のミステリーが起こってしまったのだ。

「なんで…」

今もほんの数秒前に甲板で罵詈雑言の限りを浴びせあい、手加減なしのケンカをしてきたばかりだ。

なのになんでかオレはヤツの為にせっせとオニギリを握っている。

ケンカが終わった去り際にボソリとやつが、『腹減った。握り飯』と言い残していった。

『うっせえ!マリモに食わせる飯なんてねえよ!光合成でもしてろ!』

って言っておきながらオレはなんですぐにキッチンに向かい、こうしてヤツの好きな具をつめたオニギリを作っているんだ。

ちゃんと漬け物と冷たいお茶、熱いおしぼりまで添えて。

出来上がった軽食セットをトレーに乗せてキッチンを出る。広い甲板ではクルーたちがにぎやかに各々の時間をすごしているが、緑の姿はない。おそらくトレーニングルームにこもって、またむさ苦しく汗をかいているのだろう。あぁヤダヤダ。

オレはため息を一つついて、仕方なくトレーニングルームを目指す。

だってこのオニギリどうすんだよ。作ったからには食べてもらわにゃ困るってもんだ。

誰にも邪魔されることない自分だけのテリトリーを手にしたマリモは、暇さえあれば籠って身体をいじめているらしい。

どんだけマゾなんだよ…。

そのくせ性格は純度100%のどSときてる。特にオレに対しては、挙げ足しかとってこないから腹が立つ。オレなんか眼中にないようなことを言っときながら、どんなに離れていてもオレの行動にいちいち突っ込んでくる。

どんだけ耳いいんだてめぇ。だったら普段の会話でももっとちゃんと答えろよ。コンニャロー。

ハッチをあけて顔を出すと、部屋に充満したゾロの汗の匂いがむわっと立ち込める。

そのむさ苦しさに目眩を覚えながらも、なぜか吐き気はわいてこない。野郎の汗臭なんか想像するだけで吐けるのに。

ゾロだけは…大丈夫。
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