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□いたずらしたい?
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部活終わったー。

今日はハロウィン。

だから知賀に

「Trick or treat!」

って言うんだ。

いつもされてばっかだから、たまには俺からも何かしたいし。

でも、いたずらかぁ。

何したらいいんだろう。

「国斉さん」

「うわっ!」

知賀が後ろにいたのに気が付かなかった俺は驚いて声をあげた。

「驚かれてしまった…」

「あぁっ…ごめん知賀っ…」

俺は慌てて謝った。

「いえいえ、いいんですよ。行きましょう」

「ち、知賀っ」

「はい?」

よし、言うぞ。

「と、Trick or treat!!」

言った!

知賀はお菓子持ってないよな?

想像だけど。

てゆうか期待?

「お菓子ですか?」

カサッ

知賀がポケットからミルクキャンディーを一つ取り出した。

そんなのってないよ…。

「ち、知賀、お菓子持ってたのか?」

「ええ。腹減って仕方ない時のための非常食です。全然意味ないんですけどね」

「そ、そうなんだ…」

俺はミルクキャンディーを受け取った。

「あれ?残念そうですね。もしかして俺にいたずらしたかった、とか?」

知賀はそう言いながら俺の顔を覗き込んだ。

なんで分かったんだよー!

「ち、違うっ。ハ、ハロウィンだし、言ってみただけっ」

カサッ…ピリピリ

俺は動揺を隠せず、ミルクキャンディーの袋を開ける。

「本当に?なにか落ち込んでませんか?」

「落ち込んでないー」

パクッ

俺はミルクキャンディーを口に入れた。

「いたずら、してくれないんですか?国斉さん…」

少し潤んだ瞳で俺を見つめてきた。

そんな目で見るなよ…知賀…。

恥ずかしいのになんか素直になっちゃうよ…。

「知賀がお菓子持ってたのがいけないんだろー?だからいたずらしないー」

どうしよう。

顔が熱くなってきた。

「お菓子持ってたらしてくれないんですか?」

「だってそーゆうルールだし…」

そう言うと知賀がいたずらに微笑んだ。
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