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□恋が生まれた日
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俺は清川優輝。

高2で、生徒会の副会長をしている。

友達もたくさんいるし、高校生活マンキツ中!!

ただ、厄介なことがあるといえばある。

いや、厄介な人がいるといえばいる、と言った方がいいか。

それは、うちの生徒会長の速水慎也先輩だ。

何てったって、この人。

すっげぇクールなんだよなぁ。

それはもう怖いの何のって…。

ガラガラガラ…

あ、来た。

はいくるよ、最初の一声。

「仕事」

いつもこれだ。

先輩は一体何を見て話しているのだろう。

ちゃんと机の前に座って書類を開いて、シャーペンを持っているというのに。

「おい。何見てる」

「いえっ!すみませんっ!」

はぁぁ…。

どうしてこんなに恐ろしい人が生徒会長になれたのだろうか。

「こんにちは」

「こんにちはー」

他の生徒会役員が次々とやってくる。

速水先輩といえば書類に目を向けたままで一切挨拶をしない。

「速水ー、ここどうすんの?」

「先輩、ここはどうすればいいのでしょうか?」

役員が尋ねても、先輩は

「自分で考えてくれ」

と言って即座に追い返す。

生徒会長としてそれはどうなのだろうか…。

「職員室へ行ってくる。」

先輩が生徒会室を出た。

「ね、速水ってさ、ほんとコワいよね」

「うん、ほんとにねっ」

女子先輩方が不満を言い始めた。

「ねぇ、美緒ちゃんはどう思う?」

先輩が俺の同級生の佐倉美緒に問う。

「あ…えと…あはははは…」

困ってるよ…可哀想に…。

「ねぇ、清川アンタ副会長でしょ?速水何とかしてよ」

えっ!!はいっ!?

「な…何とか…とは?」

「つまり、アイツのあのネジ曲がった性格を改変させるのよ!」

「むっ無理ですっ!俺にはっ!」

「ふーん。先輩に逆らってもいいんだ?」

「さっ逆らってませ…」

「じゃあいいよね?」

「……はい…」

「あ、ちなみにうちらが頼んだって絶対言っちゃ駄目だからね」

「……はい…」

こ…怖いっ…誰か助けてくれっ…!!

ガラガラガラ…

戻ってきた…戻ってきたよ…。

「じゃあ私達帰るねー」

「あー速水、企画書机の上置いといたからね」

先輩はコクンと頷く。

ガラガラガラ…ピシャ

カツカツ…

ガタン

しーん…

ガタッ

俺は立ち上がり、先輩の机へ向かった。

「あ…あの…先輩…ちょっとお話よろしいでしょうか…」

ドッドッドッドッドッドッ…

心臓が異様な程に音を立てている。
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