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□十五夜のトキメキ
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ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

今夜は十五夜。

阿久津と村上は村上家の縁側で月見をしていた。

二人の間には月見団子。

昼に二人で一生懸命作ったものだ。

二人は空を見上げていた。

「ねぇ…村上君…今夜は月が出てないね…」

「うん…せっかくの十五夜だけどね…」

二人は同時に団子に手を伸ばす。

手が触れる。

「「あ………」」

かぁぁぁぁぁ

二人は数秒見つめ合い、視線を空へと戻した。

チラッ

(あぁ…どうしよう村上君…ドキドキが止まらないよ…)

(うわぁ…阿久津がこっち見てるっ!うぅぅ…やっぱドキドキする〜〜!!)

「…なっ…何っ!?」

村上は阿久津の方を見た。

「あ……えと…む…村上君が…かっ…可愛すぎて見とれ「わ〜〜〜〜〜!!」

「ど…どうしたの?」

「あ…阿久津は…いつも思ったことはっきり言うからっ……」

「ん?イヤ…?」

「や…別にヤじゃないけどっ…は…恥ずかしくて…」

村上は目を伏せた。

「ふふっ…そうだったんだね…でも俺は…村上君が思ってること、知りたいなぁ…」

!!!!!

驚いた村上はもう一度阿久津を見た。

(なっ…何でそうなるんだよ〜〜!)

じぃぃぃぃ

(えぇぇぇ…めっちゃ見られてる〜!!)

ドキドキドキドキドキドキドキドキ…

阿久津の真っ直ぐな眼差しに耐え切れなくなった村上は、前を向き直した。

(うっ…まぁ…し…仕方ない…か…)

「村上君?」

「…あっ…阿久津が隣に居たら…ドッ…ドキドキするっ…よ…」

村上は前を向いたまま答えた。

顔がさらに熱くなってくる。

団子に手を伸ばすと、手を握られた。

阿久津の手だ。

「俺もだよ…村上君…」

「…阿久津……」

阿久津の唇が、そっと村上の唇に触れる。

「好き…村上君…好き…」

「ぼ…僕だって…す…好き…だ…」

そして二人は何度もキスをした。

「…村上君…俺…村上君の部屋に行きたい……」

「…えっ…だって今日は月見で…」

「でも…月…出てないよ?」

「まぁ…そうだけど…」

スクッ…ガバッ

立ち上がった阿久津は村上を抱き上げる。

「…うわぁぁっ!!」

「…行こう…村上君…」

「〜〜〜〜〜〜!!!」


トントントントン…

階段を上がっていく。

村上の部屋へ入り、ドアを閉めた。

ベッドの上に、そっと村上を寝かせる。

「…阿久津…っ」

「…大好きだよ…村上君…」

「…うん…僕も…!」

今夜は十五夜。

二人にとって、とても特別な夜となった…。

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