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□ある春の夜に
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それは、ある春の夜のことであった。
コンコン
ベッドに寝転がり本を読んでいた平次の耳に窓をノックする音が聞こえた。
???
「何や今の…」
バサァッ…
!!!!!
窓の方に目をやると同時に、不適な笑みを浮かべた怪盗キッドが姿を現した。
「キッ…キッド!何でお前がこんなとこにおんねんっ!」
「はぁ…。俺を何だと思ってんの?」
「お前は怪盗や!怪盗キッドや!」
「分かってんじゃねぇか…。俺は盗むもんがなきゃあ、用もねぇ所に入ったりしねぇよ」
「なっ…何盗もうってんねん!ここには宝も何もあらへんっ!」
スッ
キッドは唇を平次の耳元へ近づけた。
「宝よりもっといい物だ」
ドクンッ
「た…宝より…ええもん?(な…何や今の…)」
「そう」
「宝よりええもんゆうたら…。い…命か!?お前、俺の命狙っとるっちゅーんか!?一体俺が何したっちゅーんねん!!」
「バーカ…んなもん狙わねぇよ」
「せやったら何やっ…!」
グイッ
!!!!!!
平次は一瞬にして、キッドの腕の中に収まった。
「おいっ…離せっ…」
「そんなに知りたいなら教えてやる…。お前のハート…だ…」
!!!????
「なっ…何ゆうてっ…お前なんぞにくれてたまるかっ!」
「そんなこと言ってられんのも今だけだ…」
ドサッ
!!!!!!!!
キッドは平次の頬に軽く口づけをした。
「すぐに俺の虜になる」
「なっ…ならへっ…んっ!」
キッドは平次の口を自らの唇で塞いだ。
「んっ…やめっ…んっ…はっ…んっ…」
キッドは平次の唇に人差し指の先を当てた。
「ふふっ…ファーストキスもーらいっ」
「ファッ…ファーストキスちゃうわっ…!」
「嘘ついちゃって…まぁいいけど…。次はお前貰うから…。もう嘘はつかさないからな…」
「っ…!」
キッドは深い口づけをし、頬を真っ赤に染めた平次を夜の世界へと導いていった…。