SS3
□バカですが。
1ページ/1ページ
「バカだから嫌いアル」
付き合ってるくせに素直にならない彼女は毎日のようにその言葉を吐いた
バカバカって、てめぇーも十分バカだろうが
夏の補習を受ける2人は、先生が居ない間はいつも2人っきりでよくわからない文字が並んだプリントを解いていた
ちょっかいを出す事は多いけど、出したらきれるくせに出さなくても機嫌が悪くなる
どうすれば良いんだと頭を抱える自分はありえないほど彼女に惚れ込んでいることを自覚させられる
「俺も嫌いでィ。バカだし意味わかんねぇしめんどくせェ。」
強がってそんな言葉を吐いても、心は重くて痛い
ズキズキと痛む心を無視して勉強に打ち込んでみるけどやっぱり理解できないプリントたち
「…嫌いアル」
変な顔してプリントと睨めっこする彼女は本当にバカだ
手をのばして頭をぐしゃぐしゃにしてやる
「男心がわかってねェなァ」
「乙女心がわかってないアルな」
ああ言えばこう言う
喧嘩しだしたらきりがない
彼女の顎をクイッとこちらに向かせれば
少し遠い隣りまで顔を近づけて浅く唇を重ねる
「バーカ」
「…バカ!!!」
皮肉たっぷりの暴言に負けないくらいの声量で返される
まあ、嬉しそうだから良いか
「あー問2わかんねー!」
「はあ!?問2くらい簡単アル!」
むむむっと睨めっこしてからもう一回唇を重ねる
勉強は全然わからないが彼女の隣りが俺の特等席ならそれで良いかもしれない
バカですが。