SS3

□暑さにうなされてるんだ
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汗をびっしょりかきながら傘をさし
日焼け予防にと腕にも布をまといながらも外に出ていた
暑い日も扇風機のみで生活していくのはけっこうなきつさ

外の方が、涼しい気がするアル

ふらりふらりと木陰を探して歩き回れば
黒をまとった見慣れた少年があらわれた



「よお。チャイナじゃねぇかィ」



「…よお。サド野郎」



いつものにらみ合いの末にバトルが始まる
と言っても私は日に当たることができないから足で戦ってばかり
けっこうふりな状態

暑くてくらりとめまいがしてついに沖田の攻撃が当たりそうになる



「バーカ。無理してやんなっての。」



倒れかかった身体は沖田の方に引っ張られて包まれる
真っ黒で、暑い
暑くて、ドキドキする



暑いからこわれちゃったんでしょ?



いつもの私じゃない、いつものこいつじゃない…ドキドキしてるのは、変だ。



隙を見て沖田を蹴りあげればわかっていたかのようにサッと離れてしまった



「な、何アルカ!今の!」



「は?お前がふらふらしてっからでィ!」



真っ赤になる顔をおさえつつ、それだけか。と意識した自分が恥ずかしくなる

沖田も自分の行動が恥ずかしくなってきたようで
顔を手でごしごしとこすっていた



「なぁ、倒れそうアル」



「だから、なんでィ?」



「連れて帰ってヨ」



それは精一杯の自分の甘えだった
袖をぎゅっと掴んで見つめれば、沖田と一瞬目が合い離れていく

うーっと唸ったかと思えば私に背中を向けて手を広げる



「今日だけだからなァ!」



クスリと笑って沖田におぶさると
やっぱり私たち暑さにやられてるんだって実感した

暑すぎて、暑すぎて、むしろ眠たくなっちゃう

眠りにつく前に、少しだけ強く抱きついて
沖田の匂いにうもれて眠った



夏にうなされてるんだ



「くそあちぃし重てぇ…」



「くせぇアル」



「寝てなかったんかィ」

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