SS3

□とある日の昼下がり
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自分のことはわかっていた
わかっているハズだった

コントロールできると思ってた

そんなのできないって
知らなかった
心が勝手に動くの

好きって



「お前、いつもやりあってて疲れねぇーのかィ?こんなクッソ暑い日とか特に」



「ああ!?お前が喧嘩ふっかけてきたんだろーが」



ハアハアと荒い息をお互いにしながら
それでも2人は争っていた



「めんどくせぇ。今日はこれくらいで勘弁しておいてやらァ。」



そう言うとサドは剣を鞘にしまった
ちゃんと鞘にしまって手を離したのを見送ってから自分も傘をいつも通りにきっちりさして日の光を遮る



「お前さー、さっさと素直になれば?」



いきなり言われた事なのに頭の中には自分の大切な気持ちが真っ先に浮かぶ
それにこいつは気づいてるなんて…いや、ないだろう



「な、なんの事アルカ?」



とぼけてる私は本当にわかりやすくて、自分でも自分を憎たらしく思ってしまう



「俺の事好きなんだろ?」



「ないアル!!!そんな事あってたまるかヨ!!!」



見透かされた心を隠すように言葉を被せた
そうすればますます怪しまれるばかりで探るような目でじーっと見つめられる



「なぁ」



「なんだヨ。」



「俺が好きって言ったら、どうする?」



「ど、どうもしねーヨ。前からわかってたし?」



「ああそう。」



それはただ聞かれただけでも威力は絶大で
たくさんの想像…否、妄想が頭の中を蔓延るのだ
そんな妄想が頭を駆け抜けたところで実際に起こる事はないとわかっている
わかっているのに、照れてしまう
…わかっているから、恥ずかしくなるのかもしれない

たぶん、私がこの人に好きって言われたら
言われたら…
死んじゃってもおかしくないかも



「私がサドに好きって言ったらどうするアルカ?」



「どMだなと思うかねィ」



言い終わるか終わらないかの時に飛び蹴りをはなったが軽々しく避けられてしまう



「そんな事聞いてんじゃねーヨ。ど・う・す・る・か。の話アル」



「別にふつーでさァ。」



だからどうするかっつってんだろおおおっと勢いで飛びかかるとそのままバトルが再開
サドはひょいひょいと私の連続攻撃をかわしていく



「チャイナ」



「ああん?」



軽やかにかわしながら余裕でしゃべりかけてくるのがムカついてたまらない
負けじとドンドンスピードをあげていく



「もし好きって言ったらさ」



パシリと私の拳を受け止めてそのままうごけないように腕を掴まれてしまった
呆気に取られたものの無理矢理離れようとぐいぐい引っ張るが離れることはなく
サドの方へと引っ張られてしまう
サドにぶつかる事はないけれど、ぶつかる寸前
頭と頭がコツンと合わさった



「チューしてやらァ」



とある日の昼下がり



「チューより酢こんぶで良いアル」



「(酢こんぶに負けたァ!?)」

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