SS

□いたずら心
1ページ/1ページ

真新しい制服に腕を通す
もう高校に通い始めて半年はたっているのに慣れないセーラー服
時計を見たら予定より五分遅れている
急いで薄いアパートのドアをうるさく音をたてながら乱暴にひらく



「遅刻すんぞ」



「わかってるアル!」



開いた先から見える地上では自転車にまたがったままの沖田が待ち構えていた
急いで階段を降りて自転車にまたがる

そのままペダルに足をかけて立ち上がり通学路をかけぬかる

沖田がついてきている気配を感じながら追いつかれないように学校まで

遅刻ギリギリで人が少なくなった校門を抜けて自転車置き場まで乗り入れる



「寒いけど暑いー!」



独り言とも思えぬ大きさで愚痴るとその後ろから入ってきた沖田も暑くなったのか学ランを脱いだ



「お前、メガネ忘れてね?」



沖田から言われてやっと視界の端にフレームがないことに気がつく



「あー!忘れたアルー!どうしよ…」



もうホームルームの鐘がなっている
今から急いだところで銀ちゃんから遅刻の罰点が日誌につけられるだろう



「そんなに目悪かったか?」



自転車にツーロックをかけ終わりカバンを肩にかけなおすのを横目に見つつ自分も自転車に鍵をかけた



「なんていうか、目元隠したいだけアル。」



不機嫌に答えてからカバンの中のメガネケースを探す
やっぱり見つからずに落ち込む



「じゃあこうすれば良いんじゃね?」



いきなり伸びてきた手が頭を乱暴に撫で回した
せっかく朝整えたお団子はゴムには収まらずに跳ね回る



「何するアルカー!?」



髪を乱した手を振り払ったところで髪型は形を変えてしまっている



「これで目元前髪で隠れるだろィ」



しょうがなくゴムを外して簡単にできる二つ結びに変える
カバンの中から鏡を取り出して確認してみるが、やはり自分で結ぶと可愛い二つ結びではなく、すこし地味な感じになってしまう

せっかく今日のお団子はうまくいったのにー…

良いことなしな朝の始まりに嫌気がさす



「いっ!?」



今度は振り向きざまにカバンを頭にぶつけられる
せっかく結び直したのにまた髪型はぐちゃぐちゃに元通りだ



「もう!!」



肩にかけたカバンを地面に叩きつけるように落としてしまう
沖田は何もなかったように校舎に向かっていた



「お前本当にムカつく奴アルな!」



大きな声で憎まれ口を叩くと沖田は澄まし顔で振り返った



「勘違いすんなよ?俺がこんなことすんのは、お前だけだからな」



かっこよさげにそう言い残すとまたさっさと校舎に向かって歩き出した



「私にだけ嫌がらせするなんて堂々と言ってんじゃねーヨ!」



地面に落ちたカバンを勢いよく沖田の方になげるとちょうどよく頭に命中したため幾分がスッキリして
髪型を手ぐしで直しながら私も校舎に向かうのだった



いたずら心

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ