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□小悪魔な後輩
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通りかかればよく噛み付いてくる、部活帰りによく遭遇する
近所に住んでいる一つ下の後輩は私にだけ性格の悪い小悪魔だ
私の周りの友達は可愛い後輩だとよく可愛がっているが私にはとても辛辣な態度をとるため気に障ることはあったがあまり関わらないようにしていた
そんな後輩がどうも今日は変だ
「先輩って彼氏とか居るんですかィ?」
前まで私より小さかった背はいつの間にか私を見下すくらいの背になり、誰も居ない部室で何故か壁に追いやられている
目の前の後輩は剣道部なはずだが、私の吹奏楽部の部室、基音楽準備室は朝練を終えて楽器を片付けていたところに計画していたように入っていた
「なんでそんなこと聞くアルカ?」
質問しているようで尋問をしている男子は手を壁につき私の逃げ場をなくしていた
すんなり答えるのもなんだか癪だし、居ないって言うのも恥ずかしいし
嫌な顔をして目を合わせないで居る私を食い入るように見つめる
「居ないことくらいわかってるんですがねィ、一応確認でさァ」
その嫌味ったらしいセリフにカチンときて睨むが余裕が見える微笑を浮かべているだけだった
「お前だってどうせ彼女とか居ないんだロ!」
負けじと反論するが屁でもないようでもっと距離をつめて私の逃げ場を失くす
軽く突き飛ばしてみたが少しは反動を受けたように揺れたが離れることはなかった
「俺は好きな人居るから告白されても断ってるだけでィ」
めんどくさそうにため息をつく素振りなどを見せたかと思えばもう一度私に向き直り笑顔を作り直す
そして耳元に口を寄せた
「誰だかわかりやすよねィ?」
囁くように出された言葉たちが耳をくすぐって少しだけ後ずさりをしたが壁によってそれも阻止された
耳元から口を離すとまた態勢を整えて私と向かい合う後輩の後ろで朝の授業が始まるチャイムがなった
チャイムが終わってから数分考えてから静まり返った教室に音を立てる
「…そよちゃん?」
けっこう話してるの見かけた気がするのはそよちゃんだ
好きな人はわからないがこの話が終わったとしてもおサボりコースになるだろう。遅刻したら行く気はさっぱり抜け落ちてしまう。
適当にここに2人でとどまっていた方が良いかもしれない。
運が良いのか悪いのか音楽準備室は特別教室の固まった棟の1番上の端っこにある
部活にならないと先生も生徒も絶対にくることはないと断言できる
「…の、隣によく居る人でさァ」
ヒントが出されたのを良いことにできるだけ考える
こんなクイズを出されたところで困ってしまっているけど暇つぶしにはなるかもしれないし
もしかして、告白だろうか?
自惚れてるだけだよなと恥ずかしくなって、それを消すためにも推理に没頭する
「え…いや、違うヨナ。うん。」
その推理の結果では私しか出てこない
よくそよちゃんと一緒に居るのは私だし、こいつは私がそよちゃんと一緒に居る時こそ何かとちょっかいかけてきたような…
いや…ない…よな
否定を繰り返す中で軽く頭突きをされた
「わかってんだろィ?」
覗き込まれた瞳は少しだけ幼くて可愛くも見えてしまう
こんなにでかくなったくせに、中身はなんら変わってない
意地悪そうな顔だって可愛いと思ってしまう
こんな小悪魔が本当に小悪魔な告白してくるのか!?
こいつの計画通りなのかもしれないがとても心臓が高鳴っている
「…違う、とは思うけど…私アルカ…?」
「それ以外の答えなんてありやせんぜ」
即答で言われてしまえば反論しようにも頭がついていかない
本当にこんな小学校で気になった女の子にちょっかいをかける男の子みたいなやつがまだこの歳でも居るのか…
「好きなら、なんであんな態度とるアルカ?」
不貞腐れたように呟くと両手で頬を掴まれ、チューされるのか!?と構える前にその両手でほっべたが持ち上げられて顔の形を変形させられる
「あーでもしねぇと先輩俺のことちゃんと覚えてくんねェだろーが」
私を見透かしたような言葉に一層混乱する
これはからかわれてるのだろうか
本当に、好きでいてくれたんだろうか
本当の、好きなんだろうか
考えれば考えるほど謎ばかりで赤くなりながら俯く
「もっと、優しくしろヨ…」
手を頬っぺたから離すとそのまま覆いかぶさるように抱きつかれる
支えきれない身体を壁に預けてそのまま耳元で言葉が漏れ出す
「これから、優しくしてやりやすから、付き合え」
敬語混じりのその命令に従ってやろうかなと彼の身体に手を回した
小悪魔な後輩