LSS

□俳優と彼女
1ページ/17ページ

夏の暑い日の夜だった。
家からコンビニに行った神楽は、運命的な出会いを果たすことになる。

「先に手に取ったのは私アル。このクソガキ手を離すネ」

「先にこのアイス買うか悩んでたのは俺でィ!」

猛暑のせいで残り1個となったアイスを巡ってバトルが始まった。それは沖田が商品の前で悩んでいたところだった。
神楽が入ってきてまっさきにそのアイスに手を伸ばした。
他のアイスはまだあるのだが、その種類のアイスはたった一つだったのだ。
神楽が手に取った瞬間に沖田も手を伸ばして取り合い、という構図に今はなっている。

「しょーがねェ、この顔見たら譲る気になるだろィ?サインでも書いてやるから、別のアイスにしなせェ」

沖田はしていたマスクやサングラス、キャップを外して自分の顔をアピールする。がしかし、

「いや、知らねぇヨ。お前の顔なんて。手ぇ離したんだからこっちのもんってことで。じゃーナ」

何も通用せず、神楽はレジへと消えていった。
と言うのも、沖田は国民的俳優で、朝ドラまでているという知らない人は居ない、彼氏にしたい男ナンバーワンだ。

「待ちなせェ!ってはえぇな……」

もう見えない神楽に沖田は思う。

いつかぶっ殺す。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ