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□俳優と彼女
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夏の暑い日の夜だった。
家からコンビニに行った神楽は、運命的な出会いを果たすことになる。
「先に手に取ったのは私アル。このクソガキ手を離すネ」
「先にこのアイス買うか悩んでたのは俺でィ!」
猛暑のせいで残り1個となったアイスを巡ってバトルが始まった。それは沖田が商品の前で悩んでいたところだった。
神楽が入ってきてまっさきにそのアイスに手を伸ばした。
他のアイスはまだあるのだが、その種類のアイスはたった一つだったのだ。
神楽が手に取った瞬間に沖田も手を伸ばして取り合い、という構図に今はなっている。
「しょーがねェ、この顔見たら譲る気になるだろィ?サインでも書いてやるから、別のアイスにしなせェ」
沖田はしていたマスクやサングラス、キャップを外して自分の顔をアピールする。がしかし、
「いや、知らねぇヨ。お前の顔なんて。手ぇ離したんだからこっちのもんってことで。じゃーナ」
何も通用せず、神楽はレジへと消えていった。
と言うのも、沖田は国民的俳優で、朝ドラまでているという知らない人は居ない、彼氏にしたい男ナンバーワンだ。
「待ちなせェ!ってはえぇな……」
もう見えない神楽に沖田は思う。
いつかぶっ殺す。