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□好き好き攻撃
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「チャイナ、好きだ」

「うるさい!それ何回目のセリフアルカ!」


好き好き攻撃

晴れて今年から大学生になった彼女、神楽にはとんでもないストーカーが着いていた。
それは沖田総悟という男だ。

どこの大学受けるとか教えてないはずなのになんで同じ大学に入ってるアルカ!?
女子大にしとけばよかった!!!!!

大学の校門を抜け校舎へと続く道を歩く彼女に、追いすがるように彼もついて行く。

「好き。大好き。愛してるぜィ。チャイナ」

その言葉に合わせるように神楽もつぶやく

「嫌い。キモイ。近寄らないでくれるアルカ。サド野郎」

もうここまでくるとマゾ野郎だな。なんて思いながらもこの攻撃がなんなのか、彼女ほうっすら気がついている。
校舎へと続く道の途中にある噴水の前で立ち止まる彼女。
それに合わせるように彼も止まった。

「私への嫌がらせはそろそろやめるアル」

「え?なんのことですかィ?今日も可愛いねィ、チャイナ」

涼しい顔で言ってのける言葉だが彼の目は一切本気では無さそうだ。
とてもバカにしているように彼女を見ている。
そして彼女の髪へと手を伸ばして綺麗にまとめてお団子ふたつにしていた髪の片方を解いた。

「君の瞳を逮捕するぜィ」

「意味がわかんないアル!」

彼女はうざったそうな表情で彼を見つめ、髪を解いた手を振り払い両手でもう一度髪をまとめようと手を伸ばす。
彼もそれを嬉しそうに眺めた。

「私への嫌がらせはもうそろそろ終わりにするアル。何年目アルカ?」

「ちょうど今日で6年目でィ」

あの思春期真っ盛り、恋愛なんて大事件みたいな時期からこのいじめは続いていた。
彼が何度も好きだ好きだと言えば言うほど彼女は周りから追い詰められ、彼の言葉に吐き気を催し、散々であった。
高校時代までこんなことに慣れることはなく。冷やかされてばかりだった。

髪をまとめ終わった彼女は噴水を見上げてため息を着く。

「本気で好きで付き合いたいなら名前で呼べヨ」

「お前の名前を呼ぶなんざ言葉を発するのすら勿体ねぇな」

「それは褒めてるアルカ貶してるアルカ」

「褒めてるに決まってんだろィ」

呆れた彼女が睨んで見せれば彼は何かの合図のようにウインクを返した。
それに対して彼女はおえっと嘔吐くと、彼は満足そうに笑った。

「だから、こういう遊びはやめるアル!」

彼女は授業が始まらないか時計を確認するが、ストーカーを避けるためにかなり早めに出てきているので授業は始まる訳もなく、無常に時間はすぎていく。

「遊んでるんじゃない、本気でィ」

その瞳は絶対にまっすぐは見ていなくてどこか遠くを眺めている。
なのになぜか言葉はまっすぐ届いていて、どうも信じられない。

「じゃあ付き合うアルカ?」

「はぁ!??????」

彼の何故か全然嬉しくなさそうな顔になんだか満足する彼女

へへへ!
と笑ってやり返してやると彼は彼でニコリと笑ったが全然目は笑っていない。

「嬉しいねィ。俺の長年の夢が叶った6年目でィ!やっとチャイナを逮捕できるとはねィ」

そう言って彼女の手を無理やり掴み恋人繋ぎを始める彼
それに対して彼女はとても嫌そうな顔をする。

そうすると彼も嬉しそうにニコニコと笑う。

「や、やっぱり無理アル。私タチ友ダチ以上恋人未満ガイイネ」

ゾワゾワしすぎて言葉が片言になってしまう彼女に彼は手を離す素振りは見せない。

「女に二言はないはずでィ」

そんな意味のわからない理論で彼女はため息をつく。
そして手を無理やり振り払おうとするがそれは呆気なく無駄な抵抗となった。

「お前も、そろそろ本気で好きなやつ見つけた方がいいアルよ」

「本気で好きでィ」

嘘だとわかりやすく彼は目を逸らしている。
でも口元は笑っていて怖い。
何を思ったかおもむろにスマホを取り出し恋人繋ぎの写真を撮る彼。
彼女はそんな彼に複雑な顔で見つめるのだった。
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