SS4
□宿題
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やばいと思った。
「…ドーナツ」
「食い意地はりすぎでィ。コイツァやんねェよ」
少し前までそうやってあいつと教室で騒いでいた相手は私だったのに…
今ではもう信女の担当である。
それは数日前、今井信女という転校生が来たことから始まる。
2人は目が合ってすぐ、意気投合したかのように戯れ合うようになった。
確かに神楽も沖田とその様な関係だったが、今は信女の方がお気に入りらしい沖田はあまりちょっかいを出してこない。
平和でいいはずなのに
いつも思ってた。なんでこいつはちょっかいばかり出してきて腹がたつと。
でも今では…
つまんないの
どこか、寂しく思う自分がいる。
絡む相手の居ない教室を抜け出すと教材室へと足を向ける。
「銀ちゃん、私もここで休憩するアル」
「なんだよ、子供は帰れ。ここはオトナ専用だから。なんなら保健室行ってこいよ」
レロレロキャンディから煙をたたせて、デスクに足を乗せ寛いでる。
担任教師の坂田銀時は授業のない時間ここでそうやって寛いでいる。
それを知ってるから、
「避難アル。授業始まる前に戻るから良いダロ」
教室に居たら何か心がモヤモヤする。
すごく気分が悪くなって教室中の空気が重たくなる。
なんでかはわからないけど…
それは神楽だけにしか起きない現象だ。
周りの連中はそんな素振りは一切ない。
「まあ、良いや。暇だったらそこの資料整理とかやってくれない?」
銀時からの呼びかけに答えることなくすぐそばにあったデスクの席に着く。
「…飴食べる?」
「いらないネ」
いつもは出さないような不穏な空気。それを読み取った銀時はもう話しかけることはしなかった。
授業が始まる前に席に立った神楽に"いってらっしゃい"だけは伝えた。
神楽はまだ何かを考えている様子で神楽らしくないフラフラした歩き方で教室へと戻っていった。
「思春期ってのは難しいもんだぜ」