SS4

□ロリコン注意報
1ページ/1ページ

小さな彼女を見下ろす。


「妹?」


「本人アル」


小さなチャイナがベンチに腰掛ける俺を真っ直ぐと見ていた。


「これは絶対事件ネ!」


そこら辺で昼寝していたという神楽は昼寝から目が覚めた時には小さくなっていたという。
どうしようと辺りを見回すとアイスを頬張る沖田が見え、とりあえず話しかけてみたと。


「事件で有ろうと無かろうとお前がどうなろうと俺には関係ねェな」


食べ終わったアイスの棒をゴミ箱へと投げ入れながら神楽を見下ろし踏ん反り返る。
その姿は警察には到底見えない。


「はー!?かなり大変な事アルヨ!?」


「あんま変わんなくね?元からチビだろ」


「お前に言われたくねーヨ」


ギリギリと睨み合ってから、沖田は立ち上がった。


「小5くらいか?」


「わかんねェアル」


沖田がポンポン、と身長を確かめるように頭を叩くと神楽はそれを嫌そうに振り払う。


「帰るまでにはこの体どうにかしたいネ」


神楽は自分を見下ろし、袖が余っているのを怪訝そうに眺める。
元から幼い顔をしていたからか、それよりもっと幼くなった神楽は沖田にとってあまり変化を感じない。


「別に良いんじゃね?若返ったと思えば」


「嫌アル!むしろ早く年取りたいネ!」


早く大人になりたい!と言っているようで沖田はそれにクスリと笑う。

自分もそんな事思ってたっけ。
自分がもうほんとんど大人になっているとわかってどうでもよくなったけど…

チャイナにとって1年は大きくて、長くて
俺にとっては一瞬で。
大人と子供の境目はもっと長くて、でも後から思えばほんの一瞬だった。


「しゃーねーな。おにーさんがどうにかしてやらァ」


「なんか腹立つアル」



日傘で襲いかかってきたが、推定14歳と推定11歳の差は意外とあるようで、少し非力に感じた。


「その他になんか覚えてねェの?変なもん食ったとか」


「お前ふざけんじゃねェぞ!そこらへんの野良猫じゃねェんだから変なもん食ったりしねェアル!」


「あっ!!!」


そーかい、と沖田が返答しようとしたが神楽の大声にかき消される。


「あったか」


「あったアル」


あまり驚きもなく神楽を見下ろす。


「おじさんが飴ちゃんくれたネ」


「知らない人からもらったモンは食うなって躾けられてねェのかよ」


「食べ物をくれる人は神様と思えと習ったアル」


「わーお」


そうこう言ってるうちに沖田は異変に気付いた。


「お前また小さくなってねェ?」


えっ?と言葉にしてから神楽も気づく。
余った袖が長くなっていた。


「なってるアル…」


サーっと神楽の血の気が引いていくのがわかった。


「このペースじゃ数時間後には赤ん坊だぜ?」


そう口にして沖田も苦笑いを浮かべる。
これは本当にやばい系のやつかもしれない、と。


「あ!!」


「今度はなんでィ」


「おっさん、変な話してたアル!」


「それ聞いてなんで飴ちゃん食ってんだよ」


「飴ちゃんは飴ちゃん。おっさんはおっさんネ!飴ちゃん何も悪くないアル!食べないと可哀想ネ」


一個文句を言えば神楽から十の文句が返ってきて話が逸れる。
それプラス神楽の文句は文句になっておらず、ツッコミどころが満載すぎだった。



「で、おっさんどんな話してたわけ?」


「ちっちゃい頃の女の子が一番可愛い的なことを「完璧にやべェおっさんだろ!!!」


沖田がツッコミを入れたところで地味に神楽が小さくなっていくのに気づく。


「お前、縮むスピード上がってねェ?」


わかんない…と呟く神楽はとても不安そうだ。


「…他にも、言ってたけど…これはなんか、意味あるかわかんないけど…」


今さっきまで威勢がよかったくせに急にたどたどしくなった。
その姿は本当に中身まで幼くなってるようにも見える。


「なんでも良いから言っとけ!なんか手がかりになるかもしんねェだろ」


少し焦りが出てるのか口調も早口になってしまう。
応援を呼ぶかと迷いながらも応援を読んだところで何になるのかとも思考がまとまらない。


「キスをしたら、大人になるんだって!」


意を決したように神楽が言ったが、その言葉はその場の広場に響いただけだった。

その広場に居るのも神楽と沖田だけ。
反応するものなど居なかった。


「は…?」


「やっぱりこれは関係なかったアルな、うん。忘れロ」


変な汗をかきながらも神楽はどんどん縮んでいく。


「お前、チビになんのと俺とキスすんのどっちが良い?」


「お前とするくらいならチビになった方がマシアル!」


「俺もそう思う」


うう、と2人で頭を抱えながら考えるが、良い案は浮かんでこない。


「お前犬は?」


閃いたかのように沖田が問いかけた。


「たぶん勝手に家帰ったアル!」


「なんでお前は帰って昼寝しねェんだよ」


犬とやってみりゃあ良かったのに。と呟きながら…神楽を見るともう幼稚園児くらいのミニマムさになっていた。


「もう良いだろ!とりあえずやってみんぞ」


神楽が嫌がるだろうと無理に抱き上げたつもりだったが、神楽も小さくコクリと頷いた。

目ぇ閉じとけ、と言いつつも自分はどのタイミングで目を瞑れば良いのかが謎のまま神楽の頬っぺたにキスをした。

大きさは変わらない。


「ほっぺじゃダメなんじゃっ」


言いかける神楽を止めるように、唇に触れるだけのキスをする。


「「…」」


2人、気まずそうに見つめ合うが、大きさに変わりはない。今にも落ちそうなチャイナ服のズボンを必死に掴んでいた。


「嘘だろ…こんな屈辱を受けたって言うのに」


「それはこっちのセリフアッ」


最後まで言いかけた瞬間、ボフンっと大げさな音がして沖田の抱いているものの大きさが変わった。

抱え上げられていた彼女はただ沖田に抱かれているだけで、足はちゃんと地についている。


「戻った…?」


「みたいだな」


そしてお互い顔を真っ赤に染めてそそくさと距離をとる。


「今日は最悪な日だったアル」


「俺もでェ」


何を言うでもなく、お互い反対を向いて歩き出す。

ドキドキと心臓の音は大きく高鳴るばかりで今さっきまでの事しか考えられない。

なんでキスして良いとか思ったんだよ

考えてることは同じで
きっと考え付く結果も同じだろう。


幼児に戻ってしまったのは神楽だけでなく多数出ており、次の日になれば元に戻ったらしいという結果を知ってしまった2人だったが、誰にも言うまいとお互い黙っていた。
だがしかし真選組が幼児に猥褻な行為をしていたと噂だけ広まり、一番恥ずかしいのは沖田だけだった。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ