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□初詣(2014年ver)
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初詣に行こう。と約束した時間と場所に来てみれば誰も居ない。
張り切ったかのように着物を着てみたが、彼女に振られたの図は本当に情けなく思った。

言い出しっぺはあいつだったくせに。

それはクリスマスを過ぎて何日か経ったある日のこと。クリスマスは俺は屯所でチャイナは万事屋でとバラバラに過ごしたから正月は初詣に2人で行こうと言う話になった。それも行きたそうにチラチラと俺を見るチャイナに見かねてだ。
付き合っているのか居ないのか曖昧な関係。
それでも仕事をなんとか調整してもらい1日には無理だったが3日と言うちょっと良い日。
朝から行こうと張り切って神社近くの場所で待ち合わせをしていたのに。
まあ、あいつのことだからどうせ寝坊とかそんなんだろう。

約束した時間から約30分が経った時、やっとチャイナの姿を発見した。いつも通りのチャイナ服だ。



「うわ、俺だけ張り切ってるみてェ」



やっと俺のそばにたどり着いたチャイナが俺のセリフに首を傾げる。



「わ!お前が着物アルか。ひ、久々に見たアルな」



いつもの隊服でくれば良かったかもしれない。この人ごみの中、道が綺麗に空いたかもしれないのに…。
普段着よりも少しだけ立派な着物を着てきた自分が憎い。



「周りも着物ばっかりアル」



少しさみしそうに聞こえたが、チャイナの顔を覗き込めば楽しそうに笑った。



「ほら!さっさと行くアルよ!」



グイグイ俺の手を掴んで人ごみの中を歩き出すチャイナ



「その前に言うことあるんじゃねぇの?この寒空の下で30分も待たされたんだけどねィ?どっかの寝坊遅刻魔のチャイナさんに」



引っ張られる手を強く握り返して振り返らせるがチャイナは小さな声でごめん。と言うだけで終わり。
ま、こいつだからしょうがない。
クスリと笑って隣りに並んだ。

神社に着く前から大行列に巻き込まれる。まだ参道なのに列整備の氏子や巫女が忙しく動いていた。



「今日って3日だよねィ?普通もうちょっと減ってるもんじゃねぇのかィ?」



「知らないアル、初詣とか行ったことないし」



へぇー。と軽く流したが内心嬉しいと思ってしまった。
初めてと言うものは性行為以外でも嬉しいものである。まあチャイナの初体験は全て俺がもらう事になるだろうが。



「ぶえくしょい!今絶対お前変な事考えただロ?クシャミが…!
ふえぐしょっ!ふぐっ」



クシャミをしまくる彼女の首元のほどけかかったマフラーを後ろから巻き直してやる。



「マフラーのせいだろィ?冤罪でさァ」



確実に図星だったが平然を装い手をつなぎなおすとちょっとずつ動く列に並んだ。



「あー!イカ焼きの良い匂いがするアル!お腹減った」



周りがザワザワしてるのに負けじとチャイナのお腹の音が聞こえた。アホか、と言いながらも可愛く思える。



「りんご飴!祭りと言ったらりんご飴アルな!」



俺のツッコミは無視で並んでる間に目だけで屋台を物色し始めるチャイナ。
このままじゃよだれまで垂れてくるんじゃないかと心配だ。



「下る時見れば良いだろィ?今はお参りの時に何願うかだけ考えなせェ」



諭す俺を不思議そうな目でチャイナが見つめる。
なんか変な事言っただろうか?



「下るってどこをアルカ?階段も坂もないアルよ?」



そこでやっとこいつの設定を思い出す。ちょっと日本の事わかってない感じね、オッケーオッケーと自分を納得させる。



「お宮まで行く事を上りって言うんでさァ。だから参道に戻ってくる時は下り。詳しい事は俺も知らねェ」



へーっとつまらなそうに返すチャイナはやっぱり他のものに興味がいってるらしい。
目線を追うがその先は屋台ではなさそうだ。



「私にも着物似合うと思うアルカ?」



ボソリと質問をぶつけてきたくせに本人は真っ赤になって俺の返事が返ってくる前につないでいた手を離される。



「に、似合うに決まってるよナ!私可愛いし、美少女だし!可愛いし…?ナ」



身振り手振りで恥ずかしさを紛らわそうとしているようだがぬぐいきれていない。



「一旦帰るかィ?」



そう言って驚いてるチャイナの手を掴み列から出て参道を下って行く。
屯所に行ったところで意味ないだろうし…。と考えを巡らせて普通の道まで出た。
近藤さんを迎えに行くいつもの場所を思い出してそこへと足を進めた。



「え?なんで新八の道場ネ?」



訳がわかっていない鈍いチャイナは置いといてたーのーもーっと適当に門を叩いた。
だんだん叩くのもめんどくさくなったから蹴っといた。



「朝っぱらからなんですか?正月なのに騒がしい」



とのそのそ出てきたメガネは一瞬でメガネを曇らせた。



「デートか、つまりそういうことか。帰れリア充は立ち去れ!姉上!塩!粗塩持ってきてください!」



正月から騒々しいのはこいつだと思いながらも本星だった姉の方が出てきてから話は早かった。



「神楽ちゃん可愛いわー!すごく似合ってる!」



着付けを終えたらしく、そっと隣りの部屋の襖を開けた。それにメガネもついてきておおっと歓声をあげる。



「神楽ちゃん可愛いよ!彼氏の方は許せないけどね、でも神楽ちゃんが幸せなら…」



メガネのセリフは長過ぎたので完璧にスルーしながら俺もチャイナを上から下まで視線を這わせる。



「馬子にも衣装たァこの事だねィ」



「お前ぶん殴るアルよ?」



それから礼を言ってもう一度初詣に向かう。朝の方があれでも少ない方だったらしく、今回は参道に入るまでの道のりも列をなしていた。それに2人で並びながら着物と軽い化粧をしてもらったチャイナをついじっと見てしまう。



「何アルカ?」



「別に、見惚れてただけでさァ」



自分で言った後は背中に虫酸が走ったが、チャイナはそれより照れる方が先だったらしく。
化粧によって少し赤く染められていた頬っぺたを真っ赤に染めていた。
そして俺を見上げてじっと見つめる。



「何でィ?」



「見惚れてるだけ、アル」



今度は俺が赤くなる番できっとチャイナは虫酸が走ってる。
正月早々、心臓がもつのか心配になる一日であった。



初詣(2014年ver)

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