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□後悔は消えない
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後悔先に立たずの続編です。死ネタ。グロ(?)注意









俺はただ某然と庭の木を見つめる

この木は生きてる

俺も生きてる…?

こんなにたくさんの大切なものをこんなにたくさん失って
俺は自分で壊してしまって
それでも生きてるのだと言うのなら

それはただ肉体に命が縛り付けられてるだけで
魂はどこにもないよ



涙が零れる事なんかなかった



「お前をしばらく謹慎処分にする。これだけで済んだ事に感謝するんだな。」



「トシもあんな事言ってるがお前の事心配してんだぞ。まあ、休みだと思って久しぶりに実家にでも帰って姉上の墓参りでもしてきたらどうだ?」



「へい、そうさせてもらいやす」



近藤さんが俺の言葉や表情に苦笑した
土方さんに至ってはあまり見ないように目をそらしていた

俺の中で
チャイナの血の匂いはとれなくて
顔についた返り血は何度洗っても落ちなかった

きっとそれが、2人にも見えただけ。

沖田はそれからたった1人で実家で生活していた
生活と言ってもただ毎日某然としてるだけのようだった



チャイナが居る
ここには姉上との思い出ばかりの場所なのに
そこにチャイナは居るんだ



俺はここに在る
チャイナはそこに居る



微笑みかけても帰ってこない
手を伸ばしても届かない



「なにこれ…寂しいだけじゃねーかィ」



視線をさげて自分の手を見つめる

自分の腕じゃないみたい

沖田が手を上げて複雑な顔をして首を傾げた



「こんなのあったって…」



殺す事しかできないじゃないか

悲しいとか虚しいとか
そんな事じゃない

それは絶望

大きいだけじゃたりない絶望
身体の中から溢れ出す絶望

死ねばこれから全て解放されますかィ?



「…。」



悲しいもなく楽しいもなく笑う事も泣く事もない

神楽の事なんか忘れたくて、忘れたくなくて
ミツバの墓へ足を運んだ



「姉上も、こんな気持ちなんですかィ?」



そんなの違うか

俺はあいつを殺した
俺は姉上の死を土方さんのせいにした

悪いの俺だけじゃん

このモヤモヤをどうしたい?
たくさんの絡まったままの想いはどうすればほどけるの?



ふりかえったら神楽が居る気がして振り向く
そこに誰かが居るわけないのに



「チャイナ…」



(なんだヨ)



声が聞こえた気がして周りを探しまわる
やっぱり見つからない

それでもどこかに居る気がして

木の上、墓の裏、きっとあいつなら供えられてるお菓子やジュースを食べてるんだ



「返事したくせにどこ居るんでィ!!!」



返事は聞こえてこない

そりゃそうだよ
死んじゃったんだから
殺したのは俺なんだから



(バーカ)



顔をあげればチャイナがそこに立っていた
それはすぐにでも消えてしまいそうで
手は届かないトコロ



「お前がバーカ…!」



流れなかった涙がこぼれ落ちていく
消えていきそうになる神楽に手を伸ばすがやはり届く事はない



「…っ…す、好きだ」



咄嗟に出た言葉はなんの飾りもなくて
情けない声で
それでも神楽には届いたらしく
神楽は微笑んで消えていった



「なんでィ…!逃げてんじゃねぇ…!」



もう君は居ない
それでも、俺は生きるよ
君が好きだった俺を好きになる為に
君を殺した罪を償っていくために



(お前が私の事好きなことなんか知ってるヨ。バカサド。)



後悔は消えない

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