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□願い事
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知ってる?神楽ちゃん
地球での昔話に、
お星様のお話があるんだ。
地球から見える星だからこの星では見れないけど
この暑い季節にはね、織姫様と彦星様の話があるんだ
それはね、とっても素敵なお話なんだよ



パピーが…なんか話してたっけ…?
空を見上げて思い出す



「雨、降らなくて良かったアルな…。」



今、2人は会えてるの?



「ちょっと出かけてくるアルー!!」



「あー?もうくれぇからやめとけぇ!」



「すぐ帰ってくるから大丈夫アルー!」



そう言い残すと
夜だから傘を持たずに走り出す

あの2人はどこであってるの?
あの高い丘?
あの大きな山?

私の願い事も叶えてくれるの?

だったら…だったらさ…



「おい、なにやってんでィ。未成年。」



「お前も未成年だロ!」



空から目線を戻して暗闇から声の主を見付け出す
やっぱり、あの気に食わないサド野郎



「俺は仕事してるから関係ないんでさァ。除外除外。」



そんなことを言われてる間も頭の中は全部たなばたたなばたたなばたたばなた!
願い事がいっぱいに広がる。



「…なぁ。お前の願い事は何アルカ?」



「は?七夕気分ってかィ?ガキ。」



「うるっせーな!そんなんだったら願い事叶えてくれないアルよ!」



「ふん…。良いけどよ…。願い事…なぁ…。」



うーんっと考え出す少年をよそにゆっくり空を見上げる



「あぁー!!」



「なんでィ!うるっせーな!」



「雲がかかっちゃったアル!2人は大丈夫アルカー!?」



「あ?あー…。」



彼も空を見上げる
そしてクスリと笑った
その顔はちょっとしか見えないけど、優しい気がした



「大丈夫じゃねー?もう会ってるって…俺らには見えねーけど、雲ながれてってるしねィ。」



「あ、ほんとアル!よかったー!」



雲はながれて月の光が全面的に出てくる
今さっきあまり見えなかった彼の優しい顔を盗み見て、小さく笑う

こんな顔するなんて、意外!



「なー、願い事はー?」



「お前が遮ったんだろィ?」



「はいはい。で、なんなんだヨ!」



「てめーは?」



「えへへー。気になるアルカ?」



「んー、まぁ。」



「その反応はムカつくけど、教えてやるアル!」



今日の気分はすごく良いから
良いよ
君の普段見れない顔も見れたから
良いよ



「強くなりたい!」



「あ?」



拍子抜け
まさにそんな言葉が似合う顔
でもいつも表情に出さないくせに、ね。



「なーお前はー?」



「うるせー教えねぇよ。」



「えー!!!気になるアル!教えろヨ!!」



「うるせえー!送ってやるからついて来い。」



全然顔を見てくれない
けど、考えてること…ちょっとだけ…わかっちゃったかも。



願い事



「チャイナの願い事が叶いませんよーにーィ!」



「アァッ!?」

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