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□天邪鬼な私と素直な君
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自分をさらけ出す事と作る事は違うことだと
わかっていても行動などできるものではなかった
それをさらけ出せば周りと今まで通り付き合っていける自信なんてなくて
こわかった
「また酢こんぶかィ?」
「お前はまたチューペットかヨ。ガキが。」
サド野郎はドサッと横に座り
少しだけ胸の奥が気持ち悪く動いた気がした
「お前が隣りに座ったら鳥肌がたったアル。どっか行けヨ。」
「お前がどっか行けば良いだろィ?ここは俺の縄張りでさァ。」
「勝手に自分の縄張りにしてんじゃねぇヨ。」
こいつに言われて移動なんて事はしたくない
ここに居たくないとも思ったけれど
自分のプライドも大事だった
「なんでィ、お前今日はバカみたいにキレねェのな?」
「いつも通り大人の対応アルよ。お前がガキアルからな。」
「ふーん?」
チューペットを片手に持ち、こちらを見てるサドと目が合う
ツンっと目を逸らして酢こんぶをかじる
「やっぱり、変でィ。話してみろィ。お兄さんが聞いてやりやすぜィ?」
「そんなどSな微笑み見せられて話す奴は居ないアル。」
「…大人しいお前とか気持ち悪いんでィ。まぁ、素直に話すのも気持ち悪りぃか。」
「じゃあ何アルカ!?もし、私が最初から大人しくて、素直だったら受け入れてくれてたのかヨ!?もし、私がこんなキャラじゃなくてもお前はこうやって私の隣り座ったかヨ!?全部私がこうだから、お前はそんなんで、それが嫌で、でも何もできなくて…」
頭の中がぐちゃぐちゃだ
そんな事思ってたの?
なんて、
嘘
わかってた
この気持ち
もっと、ちゃんと自分をわかってほしくて
でもそんなの無理
だって私は可愛くない。
素直になんてなればきっとバカにされるだけなんだ
自分でやらかした事なのにそんなのは嫌だとわがままばかりが溢れかえるばかりだった
「何が言いたいんでィ」
「言わねぇヨ。」
「言わねぇとわかんねェ。どうしたいんでィ、何が言いたいんだよ。わかんねェ。俺だけこんなモヤモヤなままなんて嫌でィ。ムカつくから話せよ。」
「お前はいつも素直で良いよナ。」
素直に生きるのは悪いことじゃない
それはきっと良い事
素直にならなければどうにもならない事はたくさんあるから
「お前…さ。」
サドが何か言いかけたのでサドを見ると
バチッと目が合って
そのまま唇が触れ合った
「!?な!何するアルか!?ロリコン!バカ!アホ!!サドー!!!」
「欲望に素直になってみただけでさァ。」
ペロリと唇を舐めて笑ってみせる
わかんなくなって唇を袖でグイグイと拭った
「変な事すんじゃねーヨ。」
また目が合った瞬間に唇が重なる
そして今度はちゅっと音をたてて離れて行った
「悩んでるより、怒ってるお前の方が好きでさァ。」
ニッと笑うあいつのせいなのか
今さっきのキスのせいなのか
真っ赤になったままうつむいた
「お前が素直じゃねぇから俺が代わりに素直になってやる。だから、それで良いだろィ?」
「意味わかんねぇヨ。バーカ。」
そのまま自分から唇を重ねた
天邪鬼な私と素直な君
「…好きヨ」
「ヨクデキマシタ。」