SS2

□嫌いな君
1ページ/1ページ

「銀ちゃん、待って、無理!無理アル!」



「はぁ?ここまできて無理はなしだろ」



「でも、」



「銀さんそんな風に育てた覚えないからね!」



公園で聞こえて来た声
しかも人が昼寝してる時に
しかも、あいつは俺と付き合ってるはずだが何故なんだか怪しい雰囲気なのだろうか
俺が嫌いなあいつはすぐそこに居る



アイマスクを外して声の方を見やると想像通りの2人が居たが、想像通りの態勢ではなく安心



「おい、何やってんでィ」



立ち上がり2人の方へ足を向けた
旦那はめんどくさそうに頭を掻く



「あ、じゃあ、総一郎くんも起きたみたいだし、帰るわ」



「え、銀ちゃんの薄情者ぉ!」



旦那の袖を持とうとするチャイナの手を掴むとチャイナはびくっと大きく反応した
それを見てもなんとなくイライラはおさまらない



「は、離せヨ!」



離す事などしてやるつもりはなく
グイグイひっぱり公園の影の方に連れて行く



「おい、やめろヨ。ロリコン。」



「お前はロリコンな俺が好きなんだろィ?」



口調からもイライラは伝わるらしく
バツの悪そうな顔をするチャイナ



「嫌いアル」



「俺も嫌いでィ。」



俺を見上げてくる顔は少しだけ悲しそう
そんな顔でも俺だけに見せてくれるならそれで構わない
ただ、お前はいつも旦那にしか素直にならないし、俺以外には見せる笑顔とか、それがムカつくのだ

今さっきだって、旦那にあんなに顔を赤くして見つめていた
そんなチャイナは嫌い



「嫌いなら離せヨ。」



「そうやって旦那に泣きつくのかィ?」



「お前より銀ちゃんは優しいからナ」



「じゃあ優しくしたら好き?」



「それは気持ち悪いアル!」



じゃあどうしろってんだよ
イライラは溢れかえっている



「今さっきは旦那と何してたんでィ。俺に見せつけてだんだろィ?」



「は!?ちげぇヨ!今さっきは、お前に…その…ついてきて、もらって…」



「はっきり言えよ。」



すぐに何か言い返してくるもんだと思っていたが
黙ってうつむいてしまう

そんなに旦那が好きなのかよ
ムカつく



「…俺の事嫌いなのかィ?俺は、お前の事好きなんだけど、ムカつくけどなァ!」



腕の力は抜けて
こっちを向こうとしない
もしかして付き合っているのも俺の妄想なのだろうか
チャイナは俺の告白をどう断るか考えているのではないだろうか
いろいろと嫌なことしか思い浮かばなくて
ゆっくりと顔を覗き込むと
いつもは見せないような真っ赤な顔したチャイナがいた



「み、見んっ…!!!」



つい勢いで唇を重ねていた
見たことない反応で可愛いと思ってしまった俺の身体が勝手に動いてしまっていた



「…はぁ…っ。」



唇を離すといきなりで息もできなかったらしく荒い呼吸を整える



「ばか」



「うるせー。てめぇが煽ったんでィ。」



手を離してもチャイナは逃げなかった
ただじっと俺を真っ赤な顔して睨む



「す、好きとか、やめろヨ…」



「わかった。もう言わねぇよ。安心しろィ。」



あぁ、これは終わったな
たぶん今までの全部妄想だったんだ
事実全部捻じ曲げて来たんだコレ
帰って寝てそれでも事実がわからなかったら有給とって病院行くしかねぇ

っと一気に脳をフル回転させながらチャイナから離れてくるりと方向転換させる



「ま、待つアル!」



ドンっと後ろから抱きつかれたような感覚がある
これも妄想…?



「離せよ。迷惑なんだろィ?」



「ち、違うアル!」



「は?じゃあなんでィ」



振り返りたいがチャイナがガッシリ掴まっているようなので動けないし振り払うなんて勇気もなかった



「好き…だから、もう一回…言って…ヨ。」



言葉の意味を考えて
固まってしまう
これも…妄想なんですか?
Dr.林…幻聴なんですか?



「おい、黙るなんて反則アル…!」



チャイナの手を振り払い、チャイナに向き直り抱きしめる
びっくりしたのか一回固まったがゆっくりと小さく抱きしめ返された



「好きだ」



嫌いな君



「それも、反則アルよ…」



「先に反則使ったのはお前でィ。」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ