光と陰の先

□光と陰の先 4
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隊長が小さくお辞儀をし
お別れの挨拶を始めたのだった


「今日はありがとうございました。
 本当は僕らがあなたに光を
 与えなくてはならないのに、
 なんだか僕らの方が貰ったものが
 多い気がします・・・。
 あなたの光への一歩をお手伝い
 することしか出来ませんが
 全員が笑顔で再会できることを祈って」


絵描きはお礼をしようと口を開くものの
何故か声が出ない


声が出ないならと手を伸ばそうとするも、
金縛りにあったかのように体が動かない



どこが拒絶されたような
壁が出来たような気持ちになる
絵描きを申し分けなさそうな
顔をして見る子供たちを
理解してか隊長も少し早口で締めに
入ったのだった


「闇と対と成りし光。
 光が当たれば闇は闇で無くなる
 でも光となることはありません。
 それは闇から陰になっただけだから。
 貴方が陰を探すお手伝いが出来たなら
 なによりです。」 









「magic of light 






























   終演。    」










その声と共に数分前謎の乗り物を
包んだ濃霧が子供たちを包み
霧が当たりに溶け込んだころには
子供たちの姿も草花の咲き誇っていた
草原も道も無くなっていたのだった。


絵描きの目の前に広がるのは
レンガ造りの住宅や
レトロな雰囲気の変わった喫茶店


いつもと変わらない光景



絵描きがふと空を見上げると
先ほどまで暗かったはずなのに
陽が上りどこか遠くの方から
朝市の威勢の良い声が響いていた



先ほどまでの光景が嘘なのではと
疑った絵描きでしたが
胸元のブローチが確かに付いているのを
見ると現実なんだと改めて実感しただった


パレード隊の子供たちの
強さを目の当たりにし
いままで逃げてきた一つの現実と
向き合う勇気が芽生えた絵描きなのだった






      
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