光と陰の先

□光と陰の先 3
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なにか言いたげな目をしながら

スケッチブックを抱えている少年は

小さく絵描きのほうへ足を踏み出すと

絵と絵描きの顔を交互に見たのだった



言いたい言葉が浮かばないのか

ひたすら小さく口を開けては

ぎゅっと詰むんでの繰り返し…




少年の訴えがいまいち分からなかった

絵描きもしだいに

彼が何を自分に言いたいのかが

分かったらしく

少年に目線を合わせるように

その場でしゃがむと優しく笑いかけ




「その絵、気に入ってくれたなら
持って帰ってもいいよ?」




と言ったのだった



すると少年は大きな目を

更に大きく見開き

数回瞬きを繰り返すと

首を小さく傾け

「本当にいいの?」

と、小さく呟いた




絵描きは目線を少年へ向けたまま

首を縦にゆっくり降ったのだった



その瞬間少年は、

微かに笑い声をあげながら

可愛らしい顔をくしゃっと綻ばせ



「ありがとうお兄ちゃん!
僕これ大事にするねっ!」



とお礼を残すと

駆け足で周りの子供たちに

絵を見せに行ったのだった
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