短編

□静かなる
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※氷室さんがキャラ崩壊しています。イケメンな氷室さんはこの先には存在しません。苦手な方は、戻りましょう




















『Yes,My Fairy』



(紫原くんて、かっこいいよね)



「うん、言いたいことと思ってることが逆だぞしっかりして」



友人に肩をしっかりと掴まれて前後に揺さぶられながらも、視界内にとらえた私の学校へ来る意味生きる意味の紫原あちゅしくんから、決して目を放さなかった。いつ閉じてしまうのか分からない程の眠そうな目でのそのそ歩いている姿も可愛いねありがとう、目の肥やし生きる糧。内心フィ−バーしながら黒目のみで追って、視界内から出ていってしまったところで、友人に視線をやって話題を戻した。



『えーっと…、紫原くんの何処が可愛いかについてだっけ?』



「そんな話していない」



表情筋を動かして感情を表現するのもめんどくさいと言わんばかりに、表情筋を一部だけひくつかせて若干額に血管を浮かべている友人が、肺内全ての空気を吐き出す勢いで溜息をついた。そんな友人にそうだっけ?と悪意無しで首を傾げた瞬間、無言で全力アッパーを食らった。



友人にいい加減にしないと私も怒るよ!?なんて毎日怒られた後に言われている私ですが、何と言われてもやめられないものは仕方ないじゃないかと意見したい。私にとって紫原あちゅしくんとは、同じ横列に座るクラスメイトであり、My Fairyであり、生きる意味なのだから、友人との会話そっちのけで観察してしまっても仕方の無いことだと思うんだ。だってあの存在感、ちょっと待ってよ。見逃すには惜しいし、難しいでしょう?身長もあって体格も良いから恐怖心を与えてしまいがちなのに、大きなその手に大事に握りしめられているのはたくさんのお菓子たち。もさもさ幸せそうに食べている様は萌えるの一言に限る。そして、その様子を見た大勢の方が、善意でお菓子を分けに行ってしまうという、恐怖云々よりも餌付けしたい子供的な存在となっている紫原あちゅしくん



…………………………Yes!!!!!



真顔でこんなことを永遠に言い続ける私に愛想を尽かしてしまった友人は、まともな世間話が出来る友人を探しに旅に出てしまった。まあ、このクラスに一般人なんて存在しないと思うんだが。何たって、私の居るクラスだからね



「だーかーらあああああぁぁぁ!!!!!寒いより暑い方が良いに決まってるでしょう!!!??」



「いったい何の話!!?」



意味不明な会話に反射的に全力でツッコミを入れてしまう友人は、私の自慢です。



先程の意味不明な会話で騒ぎが起きている中、一人教室の机で静かに頬杖を突きながら、紫原あちゅしくんを目で追う。また、新しいお菓子の袋を開けて食べ始めた…。それで5袋目。この休み時間で何個消費する気なんだい、君は。ああ、可愛いなぁ…
さりげなく目だけで追っているから、今までに彼から不審な目で見られたことは無い。観察している時にhshsしている訳でもないから、怪訝な目で見られたことも無い。また、私が彼に対して何かしらの迷惑行為を働こうとしたことも無い。ただ観察して、ただ一人萌えているだけ。そして、その萌えを友人にぶつけているだけ。だから、友人だけにしか私が紫原くんにちょっと変わった感情を抱いてることは知られていないと思っていた。





―――――――――――――――――あやつに気づくまでは。
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