短編

□鬼ごっこやふう2
1ページ/4ページ




『あのさ。私たちが仮に、とんでもなく暇で地面に頭打ち付けそうな狂った状態で、デジタル機器がまだ未開発の時代に生まれていて、だだっ広い場所に解き放たれたとしよう。何がしたい?』



全員は私に冷ややかな視線を向けた。前回の全員の見事な完全無視に比べたら、まだ反応があっただけマシだが…。そんな顔しないでよぉ、寂しいじゃないかぁ。つうか、へこむからやめてくれ



「前よりねちっこい仮定になってるけど、本質は同じ訳っしょー?暇なら何がしたい?って」



「お前も飽きねぇな」



ムッ君と青峰くんにため息をはかれた。何なんだよ、君たち。中学生の若い活力みなぎる姿とは到底思えないよ



「あ。アレからどうなったんスか?緑間っちのは保留として、黒子っちのお弁当とか赤司っちとのお泊りとか」



黄瀬くんが思い出したように口に出した。今日は携帯を弄っていません。もうあんな豪快スライディングキメるのはまっぴららしい。



「保留にされた訳では無いのだよ。あれから一週間、リヤカーを引かせた」



『緑間と書いてサディストと読みます。メモっとけー、テスト出るぞー?』



事実だ。彼のあの頼みは、高校にあがってからのネタだと笑っていたら、どこからともなく現れたリヤカーを突き付けられ、「漕げ」との一言を頂戴しました。一週間、私は緑間くんの僕だった



「僕もちゃんと達成してくれました。やっぱり、苗字さんの料理は美味しかったです。また機会があれば是非」



試合前に正門で待ち伏せしようとスタンバっていたら、ずっと早くにバスは行ってしまったと先生に告げられ、その後私は猛ダッシュをしてバスを追い掛けた。そんな裏事情は告げず、私はむせながら黒子くんにお弁当を渡した。アレも青春の1ページに刻まれた。そんな辛いこともあったが…



『なら、また鬼ごっこやろうよ!今度は私がみんなを捕まえるからさ?』



楽しいことはしなくちゃね!という私の持論で、天才6人を振り回したい。どうだ!?と聞けば、全員また考える素振りを見せた。どうせ前回の如く「やる」と言うんだろう。焦らさずに言っちゃえよ



と、思っていたら黄瀬くん一人だけが、不満そうな顔をして私を振り向いた。あ、ちなみに、今は下校途中の通学路を歩いているところ



「それで?赤司っちとはどうなったんスか?お泊り」



『いやん、聞かないでよ。恥ずかしい』



「何かあったのかやっぱり!?赤司はやっぱスケb((ハサミ」



「僕がどうしたって?」



「青峰っちー!!もう学んで欲しいッス!!」



いつの間にか用事を済ませた赤司くんが、青峰くんに制裁をくだした。



「それで、赤ちん何かやったのー?◆◆ちん宅で」



「特に何もしなかったけど。ね?名前」



『………そうしとくよ』



「変な間がありましたけど、本当に何もなかったんですか?」



「テツヤ、世の中には知らなくても良いことがあるんだよ。例えば、僕と名前の間に何があったかとかね」



アハハハ。もう聞かないでくれ。恥ずかしくて死にそうだったから。



だから、今度は私が彼らを捕まえる立場を希望する。何故か?復讐するためさ!ふははははっ
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ