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□帰り道
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電車が揺れる度に君の肩も揺れる。
西浦高校は私服校だけど、今日の花井は制服らしきものを来ている。
普段見慣れない姿に思わず胸が高鳴る。
「…どうした?」
別に、とだけ言って慌てて顔を背ける。見すぎていたようだ。
季節は秋になるのに、未だに残暑が厳しい。
汗で花井のシャツが透けている。
「暑そうだね」
「あ、まぁな…試合の後だし余計な」
暑そうにシャツの裾を摘まんで仰ぐ。
隣接する肩から熱が伝わってくる。
「今日で練習試合は終わり?」
「ああ。後は秋大会だな」
嬉しそうに笑った。野球が本当に楽しいんだろう。
昔に比べて花井は随分いい表情をするようになった。
見ている私も嬉しくなる。
「…悪ィな、あんまり遊べなくて」
「いいよ、気にしないで」
本当は寂しかった。夏の大会が始まる前から練習量は増えていって、
大会が終わったら秋大に向けてもう一踏ん張り。
「帰りとかこうして会えるじゃない」
「まぁなぁ」
「それに、頑張る花井が好きだから」
「…そういう可愛いこと俺の前以外で言うなよ」
耳まで真っ赤に染めたまま、触れるだけのキスをした。
電車はまだ揺れている。
帰り道
⇒変換無しすみません