F*Long

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僕はなんでこんなところにいるんだ。





床は硬くて冷たい石。腕は後ろで縛られている。
動かしても頑丈な縄か、びくともしない。



(まずったな…)



いつも通りぶらぶらと裏道を取っていたら、暁の団?という濡れ衣を着せられて。
後頭部を思いっきりぶん殴られたと思ったら、気づいたらこの有様。
いつまでここにいるんだろう。

暫く立ったけど、縄がほどける気配もない。
ため息をついた頃、足音が聞こえてきた。石造りのこの建物、よく響く。


「坊や、大丈夫?」


聞き覚えのある声。
おやおや、こんな偶然もあるものか。


「や。久しぶり…イレース」
「バンビーノ!?なんでバンビーノがここに…!!!?」


青年が駆け寄ってきたが、どうも思いつかない。
頭を捻っていると肩をすくめられた。


「俺サザだよ、懐かしいな…覚えているか?」
「へえ!大きくなったね」


思い鉄格子を抜けて部屋を出る。
話もそこそこ、とにかく外へ向かう。

外に出たら何人かが待ち伏せをしていた。




「サザ、こっちだ!」
「ノイス!エディ、レオナルド!」
「こんなところまでよく侵入できたな?」
「理由は分からんのだが、兵の一人が俺たちを裏口に案内してくれたんだ」
「だ、脱走者だっ!」


しまった。
気づいたときには既に遅く、ぞろぞろと兵士が集まる。


「くそっ何とか突破をしないとな…」
「よし、サザ短剣貸して」
「いいけど…」


くるりと手元で短剣を回す。
うん、大丈夫。手になじむ。


「じゃあ、戦えない私とこのぼうやは…邪魔にならないようにこそこそ逃げ回っているから。
 みんながんばって!」
「ご迷惑をおかけします…どうかお気をつけて」


地理が見方をしてくれた。
数では圧倒的に不利だったけど、狭い通路を活かして突破していく。


「この先だ!」



門を守っていた敵将を倒し突き進む。
通路を抜けた先には一台の馬車と人影があった。


「ありがとう。あなたたちのおかげで、行商隊と合流できたわ。」
「君たちは!」


そこにいたのはジョージにダニエル、ムストンだった。












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