F*Long

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出会いから数日。膳は急げ、というがまさかこんなに行動がはやいとはね。
準備はそこそこ、直ぐに旅立った。半月も進めばもう砂漠だ。

かなしい事に、とても…暑い。


「あっつ…」
「バンビーノは砂漠、はじめて?」
「ううん。暑くてたまらないや」


シャツがぴったりと体にへばりつく。
つまんでパタパタと仰ぐが、どうにも気休めにすらならない。
隣にいるエディは涼しい顔をして笑っているというのに。


「バンビーノは確か3年前の戦争の時、クリミア側でに戦っていたんだっけ?」
「そ。そん時サザとも出会ったんだ」


あの頃は僕と同じくらいの背丈だったのに。
気づいたらぐっと抜かされていた。
今も頼もしく先頭にいる。


「……どうだ、ミカヤ?」
「…よく、わからない。でも……この中から…誰かが呼んでいるような…」


走り出したミカヤを追いかけるように進む。


「うわっ」


中には無数の宝と、おびただしい数のラグズの姿。


「賊か…!!?」
「くそっ応戦だ!!」


ラグズに恨みは無いが、命を狙われちゃあ仕方ない。


「ごめんね」


襲いかかるラグズの喉笛を切り刻めば、あっけなく動かなくなる。
無性に虚無感に襲われる。命のやり取りは…慣れない。

そんなことも言ってられず、向かう敵をどんどん蹴散らす。
仲間達のサポートもあって、この場は制圧できた。



「よし…おわりかな?」
「待てよ、ミカヤ!」


はっとして前を見る。
ミカヤがふらふらと細い道に進む。


「ミカヤっ…?」


サザと一緒に追いかける。
その先には、酷く美しい白鷺の姿とラグズ。


「っ……」




僕の知らない、サギの民。






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