▼ウォーアイ二ー

□ウォーアイニー
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『クラマ』






その少女は真っ直ぐ俺の目を見つめていた。






彼女の金色に輝く瞳に抑えつけられて、





しばらく目を離すことを忘れた。






『ね』






少女が再び小さな唇を開いた。







「…君は?」





目の前の少女は一体誰なのか。







『名無しさん。人間の名字は名無し。』









空に浮かぶ月が彼女を照らして






幼い顔立ちがやけに色っぽく見える。






「名無しさん。 何故俺の名を知っている?」





名無しさんと名乗った少女は 人間の風貌。



特別な能力を持ってる様子もない。






ただ ひとつ




金色の瞳からは、




いつかの懐かしさと愛しさを感じた。







『クラマは私の父様の友達』





「…?」





『夜獲‐ヤエ‐覚えてる?』






「…随分と懐かしい名だな。」






『それが私の父様だよ』






「じゃぁ貴女は夜獲の…」











彼女は笑った。





ああ 本当に月夜が似合う。







『あらためまして。名無しさんです。 父様がお世話になってました。 これから いろいろ関わる事になると思います。よろしくお願いします。』






ああ、今気づいた






何故気づかなかったのだろうか。






微笑む少女を見ると、月に照らされたの彼女の長い銀色の髪がなびいていて。





その瞬間 “彼女は美しい“





そう胸に刻まれたんだ。










衝動
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