『浪速くん』

□第九章
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浪速くん 【第九章】
















前回までのあらすじ。









私はごく普通の女子中学生、篠岡沙夜!



舞台衣装に着替えるため校内を彷徨いていた私は、教室の前に集まる怪しげな黒ずくめの男たちを目撃した!







男たちのやり取りを見るのに夢中になっていた私は、背後から近付いて来るもう一人の怪しい男に気付かなかった…!!







私はその男に毒薬を飲まされ、



目が覚めたら…!!












体が縮んでしまっていt




縮まねぇよ!!!!





毒薬ってなんだよ!?漫画か!!











つーか、人を悪者扱いすんな!!」




『あれ、口に出てた?』









そう。そこに現れた人物とは





この男、切原赤也であり、







怪しげな風貌ではあるが彼は悪者ではない。



今回はあくまで私を黒ずくめの男たちから救ってくれた恩人にあたるのである。(まる)





「なるほど。







それで、何故かお前はその黒ずくめの男たちに狙われていると?」



『そうそう。』






「そこでこのアホを拾ってきた…、と」



『そうです。』






その後も赤也と取っ組み合って一悶着あったのだが、




まあ、それは置いといて←







今は場所をかえて男子更衣室にいる。




「誰がアホだと、あ゙あ!?!!」



「ああん?」






『ちょ、やめときよ赤也っ…











ほら、財前くんも』




「お前は黙っとれ。」



『はい』






今は財前くんと赤也が胸ぐらを掴み合って、睨み合っている。←←






「……誰なんあの人?」




『ああ。あの子な、立海テニス部の子なんやけど…




同い年やで。ああ見えて次期部長。









ちなみに財前くんとは犬猿の仲』



「それは見てたら分かるけど」






今までポカンと二人の様子を眺めていたマキマキから純粋な質問をされた。




そりゃそうやろ。





本来ここ(四天)にいてたら可笑しい人物なんやから。





「なんで立海の人がここに?」



『さあ……、








それは私がききたいわ…』





「おい沙夜、聞いてんのかよ!!







どういうつもりだよ、こんなとこに連れこみやがって!!」



『Σなっ…!?あんたが悪いんやんか!!





あんたがいつまで経っても口割らんからやろ!』




「だからってコイツのとこに連れてくるこたないだろ!?






ウザいんだよコイツ!!いちいち噛みついてくるし、上から目線だし」




「あん?








誰がいつ噛みついた、この低脳ワカメ野郎」




「ほら見ろ!!どんだけ口悪ぃんだコイツ!!?!」



『wwwww』






財前くんはええ毒舌タレントになれるであろう。←







いや、赤也の言い分も分かるで?




顔見知りや言うてもこの二人の相性は最悪や。


顔合わせるとすぐケンカになるし、出来れば会わせたくはなかった。







こうなることは十分予測できとったけど……






けど、いつまで二人で取っ組み合いしとっても埒が明かなかったのと、



更衣室に肝心の衣装を忘れてきたこともあって(ぉぃ







一先ず赤也を連れて、財前くんとマキマキのいる更衣室へ戻ることにしたのである。




「まあまあ、財前。そのへんにしときやww」



「は?」




「すまんなー、ワカメくん。




そいつすぐ毒舌出るけど、あれやねん









照れ隠しやねん、分かったげてな」




「誰がワカメだコラ゙ァアア!!!!」






「しばくぞ真輝」



「ええ!?」




『wwwwwww』









見事に両方の地雷踏んどるやないかwww





「ううっ…








篠岡〜、あの二人こわい…」グスッ



『もうwwwww







頼むからアンタは引っこんどれ!!ww』





止めに入ったはずのマキマキが集中砲火(睨み)を受けて逃げ帰ってくる。




そして、私に泣き付いてきた。








まったく…www








なんて情けない男なんやろかwwww




キミには男のプライドちゅーもんは無いんか!!








こんなことでいちいち抱きついてくるな!!wwww






「……そいつ邪魔なんだけど。








関係ない奴は出てってくれねえ?」




『ははは…』




「めちゃお怒りやな…、







目も若干充血してるし、ワカメくん寝不足なんちゃうか…?」ボソッ



「聞こえてんだけど!?







俺はワカメじゃねえ!!切原赤也だ!!次言ったらぶっ潰すからな!」



「切原くん?よろしゅうなー♪







はははっ!俺のことは親しみを込めてマキマキと呼んでくれ!」



「呼ばねえよ!!親しくねえし!





くそっ!なんだよコイツ!?鬱陶しいにも程があんだろ!!」




『うん、それはホンマにごめんwww』








火に油とはこのこと。






ほんでやっぱり赤也はええツッコミするなあ←





『この子はうちの相方の真輝くんです。いや、決して悪い子ではないねんで?








少しアホなだけで。』




「篠岡、それフォローんなってないで…」



『事実やないの』






「相方…?」




『そう、お笑いの』




「お笑い…?」




『そう、お笑い。』








むしろお笑い以外に何があると言うんやろか





「え……、








なにお前、お笑い芸人なの…?」




『あれ…、言うてなかったっけ?』




「初耳なんだけど」







いや、もちろん学生が本業なんですけどね?




副業でお笑いもやらせてもらってます。はい。








自分でお笑い芸人やなんて名乗るって、ちょっとサブい気もするけど、



一応四天ではお笑いチャンプですし?






校内でおるときくらいデカイ顔してもええんやないかな?←






「双ボケか…、珍しいな」



『いやいや、なんで決めつけたしwww』





「俺がツッコミやで〜♪」




「は、お前が…?







それ、ちゃんとネタ成立してんのかよ?お前らが漫才するとこなんて想像できねぇんだけど」




「いや。残念なことに意外と成り立ってんで、こいつら」



「信じられっかよ。






だいたいちゃんとした活動とかしてんのかよ、ライブとか」




『ははは!残念やったな!!私らは校内のコンテストで優勝だってしとるんや!






今日だってこの後舞台発表がやなあ………』




「……?舞台発表が?」














・・・・。















「「あ……」」



『あ。』











お分かりいただけただろうか……?











「……どうした?」




『いっ…、いいいいま何時…!?!!』







「ヤバいッ!!もう出番5分前やで!?!!」




『ヒィィィイイイイ…!!!!』




「なんだ…?なに慌ててんだよお前ら」






『アカンーー!すっかり忘れてとった…!!』




「なにが」







『舞台発表や!!お笑いの!!!!』








赤也のせいですっかり忘れとったけど、私らなんて緊張感がないんやろか!?





気づけば舞台の出番直前になっていた








ちゅーか私、着替えも何も用意できてないねんけど!?




どどどどどど、どうしよう…!!!!







もうその場で着替えてやろうとしたら赤也に後頭部おもっきし殴られるし最悪や!!←










思えばこの日の私は朝からペース乱れまくりやった。(ほぼオトンのせい)





そうや!!


私が意味わからん集団に狙われているのも、赤也が四天におるのも、全部オトンのせいにしてやろう!






まず家に帰ったら一発ラリアットを食らわせてやる!!←←









そんな朝からの予期せぬトラブルもこれから起きる事件の前触れやったのかも知れない。











学祭最終日には何か事件が起きる、と言ったのりちゃんの言葉を思い出すのは、もう少し先の話や。































――――――

















「けっこうお客さん集まっとるわね〜」




「…………遅い。」





「ああ、









時間も過ぎたのに、沙夜ちゃんたちなかなか出てこないわね……」




「アイツら何しとんねん…」





「裏で何かあったのかしらー?」








「…………」








「……ユウくん見てきてあげたら?」




「え…!?」







「心配なんでしょ?」




「いやいや……!






なんで俺がそないな世話焼かなアカンねん!!」




「は?





何言うてるねん、可愛い後輩のためやろ?











ちっ、そんなんやからお前はいつまで経ってもウジウジユウジやねん」





「こ、ここここ、小春っ……!?!!











(小春が舌打ちを……!?!!ちゅーか、ウジウジユウジて何!?)」←




―パチパチパチパチ











《はい、どうもーー♪》





「あら?出てきたみたいよユウくんっ……て、」







《皆さん、こんにちはー》





「………へ?」




「は、」





《僕ら二人で漫才やらせてもらいます、真輝とー》











《財前でーす。》




「「!?」」





キャーーーーーッ!!!!









数分遅れるも舞台は無事開幕。









客席からはお笑いの舞台に似つかわしくない黄色い歓声が飛んだのであった。







「ひ…、光きゅん…?」




「はあ!?!!
















何やっとるんやアイツら!?」








次回マキマキ&財前くんが漫才…!?
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