『浪速くん』
□第三章
2ページ/12ページ
「なあ、篠岡さん?」
『………』
「篠岡さん、て。」
『Σあっ、すみません!ぼーっとしとって…!』
肩叩かれて意識が現実に戻ってきた。
ずっと考えてた。今日のこと。
……財前くんのこと。
「あー…話聞いてた?」
『す、すみません…(涙』
「Σああっ、ええよ、ええよ!!」
謙也先輩はホンマに優しいなあ。
怒るという感情を持ち合わせてないんやろか?
放課後。
委員会の仕事で放送室に残っとった。
来週から始まる「曜日対抗!ええとも選手権☆」の企画書を作っているとこや。←
曜日ごとに昼の放送の企画をし、アンケート投票でどの曜日の企画が一番オモロかったかを競う。
ちなみに私らの曜日は「410FM!」言うて、ラジオ番組みたいに毎回ゲストを呼んで、ゲストのあれやこれやをインタビューしよう言うことになった。
「あ。そんでな、来週はリクエストが一番多かった白石呼ぶことにしたから。白石にはもうオファーしてある!」
『あ、はい!分かりましたっ』
ほんで、第一回目の担当は私ら2人ちゅーわけ。
そや、先輩もはよ部活行きたいはずやのに!
私がぼーっと考え事して仕事長引かせるわけにいかん…!!
早く終わらして部活に、部活…に…………
うっ…!
部活行ったら財前くんに会うやん、←
いや、ただでさえクラスで毎日会うのに、放課後も部活で一緒なんやったわ……!!
き、気まずい!←←
「……篠岡さん、大丈夫??なんや今日は調子悪いみたいやけど……」
『え、』
「心ここに在らず〜言う感じやで。どうしたん?何か悩み事か??」
『いえ、あの……』
そんな表に出とるんやろか、私。
あ。謙也先輩モテとるからこういうの詳しいんやない?!
経験も豊富やろし、そや、きっとそう……!
よし、
『あの、………謙也先輩は、誰かと付き合いたいとか思います?』
「Σえぇ……?!!どどどどどどないしたん、急にっ////」
うわああああ失敗した…!!////
そうやんな!こんなこと急に聞くん変やんなっ……
謙也先輩が優しいもんやからって、つい口走ってしもた…!!恥ずかし////
『いえ!あの、すみません!!!失礼ですよね、こんな立ち入った話…!!わ、忘れてください!』
「いや、別に構わん!!こ、答えたるから…!!////」
俺は篠岡さんの先輩やからな、うん!言うて私を気遣ってくれとるらしい。
ありえん、ええ人…!
きっと色々と損してきてはるわ!!(涙←
「ん〜。そら好きな女の子と付き合いたいて思うな…!男やもん、誰だってそうやろっ」
『そ、そうですか……。』
「お、おん!////」
やっぱ、そうやんな。
この年頃で異性に興味ない奴なんておらへんやんな。うん、それは分かる!
「……Σな、なんやっ!篠岡さん、もしかして付き合いたい奴でもおるんか?!」
『うええええええっ////ちゃ、ちゃいますよ!いませんてっ!!』
「そ、そか…!////」
お、おうふ……
なんやこのやり取りは…
謙也先輩もこういう話苦手なんやろか?
うう、悪いことしたなぁ…。
『あ、すみませんでした。変なこと聞いてしまって…!!』
「いや、構わんて!それにええことも聞けたし…(ボソッ」
『……え?』
「あああ、ほら!!俺ら絡み少ないしっ……、こんな話せて良かったなあ思て!////」
ああ、なるほど!!
謙也先輩、そんなことまで気にしてくれとったんや…!!
なんや相手にされやんし、私謙也先輩の中で影薄いんやて勝手に思っとった!←
謙也先輩……、
『謙也先輩!私、これからもっと先輩のこと大事にします!』
「ええ?!////」
『ΣΣめめめ迷惑でした?!!』
「いや、全然!!!!そ、そやな!俺も篠岡さんのこともっと大事にするわっ////」
『あ、はい!////』
うわっ なんか照れるな。
優しい上、こんなピュアな人だったとわ…!
喋らな分からんこともあるもんや!!
――――――
『あ、気になってたんですけど。その「さん」付けいらないんで、呼び捨てしてくださいね!』
「お、おん!////」
ぴゅあああああ…