『浪速くん』
□第三章
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浪速くん 【第三章】
「俺、………篠岡のことが好きやねん。」
―キーンコーンカー…
授業開始のチャイムが遠くに聞こえたけど、今は授業の心配するような余裕はない。
財前くんに告白された。
『………』
「………」
『えーと……………、ホンマに?』
「ホンマや。俺が冗談でこんなこと言う思うん?」
いや、言わん!絶対言わん!!
マキマキじゃあるまいし、あのクールな財前くんがこんな冒険心強いボケかましてくるはずない!
マキマキじゃあるまいし!!←
『せやんな!冗談でこんなことなんか言えやんわ、ははっ……』
「………」
『………』
何言ってるんやろ自分…?!
いや、こういうの慣れとらんから、リアクションに困ってしまって…!
『………』
「……返事は?」
『ふ、へ?』
あ。
今、相当間抜けな顔したと思う。
財前くんもそれ見て深いため息をついた。
そうやん、返事やろ、返事言わなやねんて今から!!
「……こんなアホな女のどこがええねん、なんかの間違いや、て初めは思たけど、」
『…は、はい!』
あれ、なんか失礼なこと言われてる気ぃするねんけど…?!
言葉という名の暴力ですよね、これ…!
今なら訴えたら勝てる気がするわ!!ホンマ!←
「でも。やっぱ俺、篠岡が好きやねん。しゃーないわ。」
そう言って、ぷいっ と目を反らす財前くん。
ええええええええ?!
その顔はズルイわ…!!
なに、今の!?私が男ならおそっ((自主規制
でも……
私の答えは決まってた。
「だから付き合っ
『ごめん!!』
「え………」
『ごめん。』
「………」
『財前くんとは付き合えません、ごめんなさい。』
「………」
『ごめんなさい。』
「………」
『ご、ごめんなさい!』
「………」
『ごめ
「もうええ。何回謝るねん、俺、不憫すぎるやろ……。」
『ご、あっ……』←
「……アホ。」
今のはアホ言われてもしょうがないと思う。
「なんで?俺のこと嫌いなん……?」
『ええ?!嫌いやないよ!好きやもん!』
「は、(何こいつ、平気で言いよった。悔し////)
………ほな、なんでやねん。」
『私っ……、誰かと付き合う、とか、今は考えれんくて…!私の柄やない、言うか、まだ早いて言うか……』
「………」
『こんな女、財前くんには勿体ない思うし!』
「は………」
『それに………財前くん、モテるし
「何それ。」
『………』
「何なん、それ。納得できへんわ。」
『え、あ、う…!ごめ、あっ……』←←
「………」
『………』
「………」
『うぅ…やっぱ謝らして、ごめん〜〜(泣』
「泣くな。」
『うっ、うぅっ 〜〜〜…む、無理ぃや、あうぅ〜〜〜〜〜〜う、うっ』
ついに泣いてしもたっ
あかん、こんなん迷惑かけるだけやのに…!
止まれ、私の涙!!
……ああ、もう財前くんに嫌われたな。
いや、フッたん私やけど、なんか寂しい……
―ぎゅっ
『Σはぅ!?ざざざざざいっ……』
「そんな顔みたないから。」
うぇ!!?!そそそそんなブサイ顔してたんやろか、私っ←
財前くんに抱きしめられたお陰で涙もすっこんでしまった。
代わりに体中めちゃ熱い……
この体温が財前くんに伝わっていくのが分かって、ごっつ恥ずかしなった。
――――――
『あのー…そろそろ放して////』
「いや。」
『Σええ…?!』
「……俺、そんなんで篠岡のことあきらめられへんから。」
言うてまた強く抱きしめられる。
どうしよう、
嬉しくて、痒くて―
みんなまだ授業中やんな、
こんな時間長く感じるのは初めてやわ。