時雨

□22.
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え?


今、テニス部に何が起きてるかって?

俺が知るわけねぇだろ?


つか、何も知らされてねぇんだからさ。

多分俺の予想じゃ、俺と真田だけなんだよな。何も言われてないの。

まぁ雰囲気が変なのは俺だって感じてるし、相方も後輩も何か変だ。

部活に集中しきれてる感じが全くしない。


それは本当に迷惑。

だってもうすぐで大会なんだぞ?


真田は、その微量の変化に気づいてないらしい。

『みんな頑張っているな』

と言っていた。


無論、俺は苦笑したけどな。


でもほんとに気づいてないのか?


最近よく話してるの、俺だって気づいてるか?

幸村達の態度が少し冷たいの知ってるか?




俺たちに何で言ってくれないんだ?



丸井は、俺に何か後ろめたいことがあると目を合わせない癖がある。

そして、目が据わっている。


目に特徴があるやつなんだ。

相方だとこんなことも知ってるんだぞ。


もう少し信用してくれてもいんじゃねぇの?




「ジャッカルー、次、俺らにおー達と。」



部室の中にいる俺にドアから顔を覗かせて丸井がやはり目を合わさずにこっちを向いた。



「分かった」



知ってる。


もう丸井には俺がいなくても自分一人で何でも出来ることくらい。


知ってる。


俺に頼ることが少なくなったことくらい。






知ってる。













「小野奈央のこと、知りたいか?」




「……は、なんで、小野のこと」



「俺が気づかないとでも思っていたか?甘いんだよ、お前らは。」



そう。


本当はとっくに気づいていたのだ。




丸井や赤也あたりは、俺と真田は優しいから、という理由でこの事を関わらせなかったとでも思っているのだろう。




だが、俺は違う。




「幸村は、俺にそのゲームに参加させたくなかったんだよ。」



「ちょっ…ジャッカルお前何デタラメ言ってんだよぃ!ゲーム?何の話だ!」




「俺は、小野奈央の全てを知っている。だから、幸村は俺を外したんだ。」



「小野のこと、何か知ってんのか…?」




「あぁ、言わねぇけどな。」




「っ」



まるで、玩具を取られた
子供のような恨むような目で俺を見る。



「何で言わねぇんだよ…」



「お前らは自分達で見つければいい。」



そして、



「…わかった」






聞いて後悔すればいい。















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