君と見た世界

□MAR.06
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「…」



『御主人、元から無口だけどさ心の中まで閉ざすのやめてくんない?怖いんだけど』



「…」




『お前うるさいみたいな目で見んなよ!悲しいだろ俺!』



「ちがうわ。ミカル、うざいよ。」



『それだいたい一緒だよな⁈』




あの色々あった日から二週間が経った。

あれ以来変わったことはたくさんある。



例えば




「…ミカル」



『チッ何か最近雑魚が多くなってきたんだけ、どっ!』




《ギャァアアアッ》



私達に害を加えようとする霊が増えた。


いや、私だけか。



ミカルかツバキが側にいる限り、私に直接害が及ぶことはないのだけれどやはり何か変わったんだろう。




『最近さ、晃さん様子おかしいよな』



「…今に始まったことじゃない」



ミカルは晃のことをさん付けで呼ぶ。

友達でもないくせに意味が分からない。



「晃は昔から変よ」




きっと今日も




私がいる屋上の扉の向こうに立って




私を待っているんだろう。





























小学生の頃だ。





「ゆーれいなんていないよ!」


「莉央ちゃんって変!」


「あたしたちをからかってるの⁈」




私の記憶は、可哀想なものが多い。

突然霊が視えるようになった私は、怖くなって他の友達にそれを伝えた。


だが、それを皆は否定した。




それからだ。




「莉央ちゃん何か変わったね」

「しょうがないじゃん?嘘つくような子なんだもん」





人を信じられなくなったのは。




先生も友達も、家族さえもー…



今でも思う。


私はとても可哀想な人間だ。



そんなの百も承知だし、そうやって生きていこうとしている私は馬鹿だと思う。


別にいいんだ、そんなの。



だから、




「莉央は変じゃないよ」




晃はとても大切な人なの。




「莉央の生き方はかっこいいよ。俺もそんな風に生きていきたい。」



初めて私の生き方を褒めてくれたの。




「俺、莉央のこと好きだ。莉央しかいない。」




初めて人を好きになれたの。




中学生の時に聞いた。



「どうして私なの?晃なら他にもたくさん色んな人がいるのに。晃は変だよ」




ポツリと言った後、ハッと気づいた。



晃は今、とても悲しい顔をしている。




「昔も言ったよ。莉央は変じゃない。変なとこと言ったら、俺を選んでくれたところかな」




私にはこの人以外にはいない





そう思った

















はずだった。











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