キセキU

□28.
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今日は何故か早く起きた。


いつもはアラームが鳴ってからもそもそと起きるのにアラームが鳴る前に起きてしまった。



…そうだ。全国大会、終わったんだ。



四天、負けたんだ。




「っ、…」



皆、頑張ってたのに。
なのにどうしてだめなの。



「…だめ、外歩こ」



1時間くらいあるかな。
一応長袖着てこう。


あたししかいない部屋を出て、エレベーターに入った。


下に勢いよくいくエレベーターは浮遊感があって、嫌な感じがした。


あ…やっぱり暑そうだな。
8月だもんね当たり前か。



「…会場いこうかな」


あたししかいないのに、誰かに言いたくなる。

独り言なのに、声を出す。


はは、寂しいなあたし。




チンッと音がしてエレベーターが開くと1階だった。
外に出ると、やっぱり暑かった。


東京よく分からないし、迷子になったら困るなぁ。




「大阪と全然違う」



「だろうな」



…えっ?



「何一人で歩いてやがる、美羽」



その声は、聞いたことのある声で


「あっ、け、っ、景吾?!」


「フッ、久しぶりだな。」



うわぁ景吾だ。
昨日も見たけど間近で見る景吾はキラキラしてる。


「どうしたのこんなとこで」


「それは俺が聞きてぇな。ここは俺様のジョギングコースだ」


ああ、なるほど。

東京だもん
会っても変じゃないよね。



「そっか。頑張ってるんだね」


「ああ。」



「今日の決勝頑張ってね。」



「お前は立海の生徒だろうが」


「あたし、今は四天だよ。立海は関係ない。」



「丸井のことはもういいのか?」



丸井…?
どうして、景吾が知ってるの

あたし何も言ってないじゃない。



「………なんで?」


「お前は間違っている。選ぶのは白石じゃなく丸井なんじゃねぇのか?」


「待って景吾っどうして蔵が出てくるの?確かにあたしは…ま、丸井君を友達以上として見てたよ。だけどーーーー…」


そこで詰まってしまった。
涙が出そうになるところをグッと堪える。
なんでだろ。
景吾に言われてるからだろうか
すごく悲しい。


「第三者から見ると冷静に見られることもある。」



「あたしは…」


「お前は、必死で四天を応援してるが心から笑っているのか?」


「心から…」



「何でそんな苦しそうな顔をしてやがるんだ。気づいていなかったのか。」



「えっ…」



「俺とお前が初めて会った日はもっといい笑顔していた。俺が惚れたお前は今のお前じゃねぇよ」



目を細めて言う景吾
キツい言葉だけどあたしの為に言ってくれてるって分かる。



「…」



足を止めるあたし
それに合わせて景吾も足を止めた



「美羽」


「…ん」



あたしって本当に子供だ。
だって景吾が言ってることは多分合ってる。



「あたしのただの意地だって分かってる。分かってるよ。でも…」



「いい。無理には聞かない。だがな、覚えておけ。俺はお前を心配してる。何なら氷帝に来ればいいとも思っている」



「そんなっ」



「考えておけ」



ニヤリと笑う景吾


行くぞと言わんばかりに背中を押してくるけど。


「あたし、謝らなきゃいけない人たちばっかりだ。」


「何をだ」



「色々かなぁ。」



「ハッ、秘密ってわけか」


「えへへ」





景吾と話してると落ち着く。
胸がほわほわする
あったかくなる。



ありがと。





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