キセキU
□19.
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「ーーーーー着いた」
久しぶりの関東方面。
また戻ってくるなんて思ってもいなかった。
戻ってきたとしてもあと何年後だと思ってた。
でもいいの。
問題はあの人と会わないことだから。
学校を早退して、家に戻ってみたらお母さんにびっくりした顔で見られて事情を話すと少し呆れられながらお金を渡された。
「リョーマ君の家に泊まるのよ。他はだめ」
これが東京へ行く条件だった。
なのに、
携帯を見てリョーマから転送された加奈の写メを見ると、懐かしい加奈と高梨君の間に写るデレ顔の謙也。
……これはどういうシチュエーションなの?
それに神奈川に行かなきゃいけないってことはあの人達と会う可能性は十分にあるということ。
「…まだ勇気ないよ」
これが本音。
会いたいけど会いたくない。
成長したあたしを見てほしい。
ごめん、今じゃないの。
ブブブ、とマナーモードにしていた携帯が鳴った。
リョーマかな?
そう思って見ると、意外な人からで
【美羽さんが無事に帰って来るのをここで待ってます】
「…光」
ほんとに不器用な人。
【ありがとう。謙也と蔵と三人で帰ってくるね】
こう返しておいた。
それから画面を戻して着信履歴から名前を探して、
「ーーあ、リョーマ?あたし。今から神奈川行ってくる」
お願い、謙也にも蔵にも会わせて。
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