キセキ
□06.
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「美羽?どないしたんや、白石。お前なんかしたんか?」
「迎えに行った時からこんな感じやったわ。」
「美羽ちゃんどうしたんやろうか〜あたし心配やわぁ」
「せやな」
「俺らシードで一回戦目ないからぼちぼちアップしといてな」
「「「はーい」」」
彼は標準語だった。
関係あるかは分からないけど、もしかしたら彼は大阪の人間じゃないのかもしれない。
あたしと一緒であっちの方の人間なのかもしれない。
だけどどうしてあたしの名前を知ってるんだろうか
もしかしたら今までの練習試合とかで誰かが呼んでいたのを聞いてたってだけかもしれないけど…
知らない人に名前を呼ばれることがこんなにも怖いことだと知らなかったー…
「美羽さん」
「……えっ?」
「試合、始まりますよ。いい加減目覚ましてください。」
「ご、ごめん…」
「別に謝ることありませんよ。けど、いつもの美羽さんと違うってみんなちょっと雰囲気暗いんですわ。」
「うそっ」
あたしがみんなをサポートする側なのに、
それができないなんてマネ失格だ。
「光、行こっか」
「美羽さんは笑っとけばええんや。」
「じゃあ光も笑っててよ!」
「それは無理ですわ」
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