キセキU

□30.
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「どういうつもりや」


「どういうつもりも何も。これはどういうことやねん謙也」



ここはホテルのおれの部屋。
歩いてた白石を捕まえてここまで連れてきたっちゅーわけ。
もちろんその間に美羽とも会わせてない。



「お前の軽い行動一つで皆動いてるんやで」


「何のことかは分からんけどそれはありがたいなぁ」



「なぁ白石。お前、セミファイナル始まる前にユウジが怒っとったん覚えとるか?アレも何かお前したんやないんか?」


「ああ。そういやキレてたな。けど、ユウジがキレるなんて珍しいことやないやろ」


「今のお前人間として最低やで?」


「謙也にそう思われても別に構わん。おらんくなられるんよりはマシや」



そう言って白石は、ベッドに横になった。

それ俺のベッドなんやけどな!!

そう言いたいのを我慢して。




高梨達のとこは大丈夫やろうか。



そう思って、瞼を閉じた白石を俺は見つめていた。

















「はぁい丸井」

「や、久しぶり」


「なっ…お前ら見に来てたのか」



幸村に教えてもらった会場の施設の個室の中に入ると丸井と後輩の切原君が大人しく正座をしていた。

もちろん写メは撮ったけど。
無音で。

犯罪チックだから良い子は真似しないでね〜。



「何しにきたんだよ!」


「もちろん応援じゃない。優勝おめでとう!」


「あ、ありがと…って水野ぉ!騙されると思うなよ!!」


「ほんとのことなのに。」


「で、何が目的だ。肉か?」


「ちょ、丸井さん何言ってんスか!」


「え〜丸井今日肉食べるの?じゃあ私たちもお邪魔しましょうか?ねぇ高梨」

「そうだなマイハニー。俺らだってそれなりの働きしてんだしな」



マイハニーという単語を言いながら水野に近づいたら、手の甲の皮を握られた。


「いっ」


「あっそーいやお前ら!今日な!美羽見たんだぜぃ!!お前らも会いたいだろぃ?後から会いに行こうぜ!」


…さっそくきたか。

そう思った俺らは顔を見合わせて、作戦Aに移ることに決めた。



「美羽?」


「あぁ。お前らも会いたいだろ?」


「私、美羽ともう友達なんかじゃないよ」


「はぁ何言って…」


「細谷のことまだ信じてんのお前。だってアイツは俺らのこと裏切ったんだぜ?何も話してくれない。一人で抱え込む。そして一人で逃げた。そんなの友達って言えるのか?」



「高梨…お前美羽のこと悪く言ってんじゃねぇよ」



「俺、好きな子しか優しくしない主義だから。中一の時は好きだったけどな?」



「っ、テメェ!」


「丸井さんっ落ち着いて!」


「これが落ち着けるかっつーの!惚れた女のこと悪く言われたら誰でも冷静じゃいられねーよ!」



丸井の声が個室の中に大きく響いた。


当たり前だよな丸井
今だけはいい。
俺たちに噛み付け。



「丸井。アンタの周りには沢山女の子がいるでしょ?だったら美羽じゃなくてもいいじゃない。」


「水野まで何言ってんだ。俺が美羽のことしか見えてないの知ってんだろ」


「じゃあ何で中一の時、他の女とシたんだよ。」


俺の問いにまたシンと部屋が静まった。


「…もう過去だろ…。丸井さんだってすげぇ反省してんだよ!何でまたあんたらに言われなきゃなんねーんだよ!」


「過去ねぇ。だったら、美羽が丸井のこと好きだったかもしれないのももう過去なんじゃない?だったら、会いたがってないかもしれないね?ねぇ、丸井」


笑いたくなる自分がいた。
水野は自分を追い詰めて頑張ってる。
手の震えがその証拠だ。
本当は美羽のこと悪くなんて言いたくないよな。
俺だってそうだよ。

今でも友達だって思ってる。





「俺はーーーー…、美羽を信じてる。美羽が俺を嫌いだろうと忘れたかろうと、もう離すつもりなんてない。」


「っ」



これだから丸井は。
たまにあるこの目

真っ直ぐで、背けられない



「ふーん、余裕だね。細谷と会えるなんて確証ないのに。」


「はっ…み、見つけてやるよぃ!」



あら。油断したみたいだ。
かっこ悪い答え方になってる。



水野の方を見ると、携帯を見ていた。


もしかしたら幸村から何か連絡が入ったのかも。



ガチャ







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