キセキU

□30.
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「んー。イマイチ実感ないんスけど。」


「あ?何の?」


「だーから!二連覇ッスよ!!」


「だってお前去年も今年も出てねぇじゃん」


「去年は俺中学で全国優勝したんで」


「だったら今回は休んでいいだろぃ。俺だって去年出てねぇんだからよ」


「くっそーじゃんけんで勝ってれば出れたのに…!!」



いや、多分それはねぇと思う。
真田の気迫と柳のデータでお前は負けたんだよ


と言うとうるさそうだからやめた。



「つーかお前電車の中なんだからもう少し小声で話せよぃ」


「先輩だってうるさいッス」


「あぁ?偉大な先輩様だぞ?」


「あーはいはい」



なんだこのクソ生意気な後輩。


けど、


「………先輩顔キモいッス」


「うるせぇ」



頬が緩む緩む。
緩んでしょうがない。
何故なら美羽と会えたから。
夢の中にも出てきてたのに現実で会えるとかもう神様に感謝すべき?!
あーーー早く会いに行きてぇな。



「もう着くッスよ」


「はいはい。」



ゴソゴソとポケットに手をつっこむとアップル味のガムが入ってた。
それを取り出して口に含んだ。


甘い。
うめぇなやっぱ。



「フーセンガムは出た後ッスよ」


「お前今日口うるせぇな母親かよ」


「…」



あ、マジ?
ボケ無視されると結構きついんだぜぃ?






















「じゃー俺中等部行ってくるんで!顧問の平じっちゃんに報告してくるッス!」


「おー」



無事に学校に着いて、俺たちは中等部と高等部にわかれた。


夏休みはもう終わるけど、学校に来ている生徒は少なかった。


生徒玄関を通って2階への階段を上がる。


一歩一歩何かを踏みしめるように。




ガラッ



「…全然いねぇ」



職員室を開けてみたが、誰もいなかった。

夏休みってこんなもんなのか?



「あー、はいはいっ!何か用ですか?…あ、丸井君」


「お。センセーじゃん」


担任の先生だった。
ちょっと美羽に似てる感じのある。


前までは少し、いや、結構重ねることもあったな。
だってすげー似てんだもん。



「どうしたの?今日は部活無かったんじゃないの?」


「うわーセンセ。俺ら全国大会行ってたんだけど。」


俺の発言に見るからに先生の目が丸くなっていくのが分かる。


おもしれー。



「えっえっ全国?どこで?」


「東京だけど?つーかセンセ本気で知らなかったわけ?」


「ごめんなさいね。あたしも昨日までは私用で学校にいなかったのよ」


「ふーん。ま、いいけど。俺ら優勝したし」



「……えっ?ゆ、優勝?!」


「天才的だろぃ?」



ウィンクしてピースをかますとおたおたしながら先生が走り出した。



予想外すぎてついていかねぇんだけど。



俺はその後ろ姿を見つめていた。









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