キセキU

□28.
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「美羽!探したで!」


「謙也。おはよ」


「おはよーさん…ってちゃうわ!美羽の部屋行ったらおらんから皆で探しとったとこなんやぞ?!」


時計を見ると8時になりそうだった。
あたし、かなり景吾と話してたんだな。
会場もそんなに遠くないし。



「ごめんね散歩行ってた」


「そか。ならよ「美羽さん迷子やなかったんですか。」」


謙也の後ろからひょこっと現れた光。


「光もごめんね。」


「全然ええですよ。まぁ俺らと違くて部長は怒るかもしれませんけどね」


はっ…

そうだった。



「ええ、蔵怒るかなぁ」


「そりゃ怒りますでしょうねぇ。あの人、美羽さんのこと娘かなんかやと思ってるみたいやし」



「こんな大きい娘いると思う?」



「そこやないやろ美羽」



あたしもボケとかツッコミが最近ようやく分かってきたようだ。

それよりも蔵が怖い。
携帯も持って行ってなかったから連絡も出来なかったし。

景吾が送ってくれたから安全ではあったんだけど…許してくれるかな。

「あ」


「え、どうしたの光」


どう見てもあたしの後ろを見ている光


「美羽」


ビクッ


あたしの真後ろから聞こえた蔵の声は低くて、今にも怒り出しそうなのを抑えているようだった。


「……ご、ごめんなさ…っ」


涙が出てきそう。
蔵は確かに怖いんだけど、優しいから。
あたしの味方でいてくれるから。

だからーーー…



「アホ、心配かけさすな」


蔵の腕が伸びてきて、後ろから抱きしめられた。



「うん、ごめん」


と、その腕をとろうとした




けど、





「この腕、蔵じゃない」



声は一緒だけど、違う。




「美羽流石やなぁ。」


後ろにいたのはやっぱりユウジだった。


「もーっ何なのよユウジ」


「スマンスマン。美羽のことビビらそう思うただけやで」


「ユウジ先輩サラッと美羽さん抱きしめましたよね。」


「仕方ないやろー。アイツならこうすると思ったんやもん」


「いい年齢の男がもんとか言うな」


「うるさいわ謙也どつくぞ」



後ろから小春ちゃんも来て、
びびらせてごめんねと言われた。

笑ってあたしは全然!と言った。



「美羽」


ビクッ



「こんなとこにおったんか」



みんながシーンと静まる。
さっきまでの空気と全然違う




「う、うん。散歩行ってたの」


「そうか。なら無事で良かったわ。皆、朝食済ますで」



その声を合図にみんなが歩き出す

謙也に小声であんま怒られんかったなと言われた。
うん、と答えたけど何か違和感。



「美味しいですかね朝ごはん」


「ん…、そ、そうだね光。あたし、ここのサラダ大好きなの!」


「え?美羽さんもう一回」


「ん?ここのサラダ大好き…?」


「サラダ?」


「大好き?」



「くぅっ」


両手を顔に広げてあんまり聞いたことのない声を出した光


「アホや光、自滅してんで」

「財前お前アホやろ」

「光きゅんもかわええことするんやねぇ」



「あー、最高」





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